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「それにボンゴレにとって僕は邪魔な存在だ」
沢田はボスである以上、跡継ぎを作らなければならない。
しかし現恋人が男では跡継ぎを作ることが出来ない。雲雀は雲の守護者としてボンゴレにとって必要不可欠な存在であり、ボンゴレ次期ボスの恋人としては邪魔な存在であったのだ。
「俺は別にダメツナの相手がお前でも構わないぞ。守護者も黙認してる」
「守護者はどうか知らないけど、赤ん坊が認めていても、その他大勢が黙っちゃいない筈だ」
雲雀は尚も話を続ける。
「強くなった沢田に殺されるのなら仕方ない。弱者は強者にやられる。これは自然の摂理だ」
だから五年で見違える程彼を強くしておいてよね。
そう言って雲雀は椅子から立ち上がって歩き始めた。
「一度裏切ったら例えそれが仮初めでもボンゴレに戻るのは難しいぞ」
雲雀は僅かに笑みを浮かべ右手から指輪を抜き取り、リボーンへと投げた。
「別に構わないさ。それに目の前で彼が他の女といるところを見るのは耐えられない。見ると欲しくなる」
離れてみれば冷めるだろうこの気持ち。外からの圧力でいつ終わらされるかわからないこの関係に雲雀は自らでピリオドを打った。
「結局はさ、皆自分の身が可愛いんだよ」
ただ、気持ちはたとえ冷めたとしてもこれは取引、ちゃんと守ると雲雀は約束して窓から外へ飛び降りていった。
リボーンも約束を守るべく沢田に雲雀の浮気の事実を突き付け、雲雀から沢田を隔離した。全ては五年計画の成功のため。
沢田の為に自らを犠牲にした雲雀のため。
リボーンは計画通りに物事を運び、無事終わった。勿論成功だ。
トゥットファミリーは壊滅状態に陥り、今はボンゴレの監視下にある。
「あれから五年か」
昔のことをふと思い出しながら一人部屋に残されたリボーンは呟く。
「残念だったな、ヒバリ。お前はダメツナを甘く見すぎていたんだ」
雲雀の唯一の誤算は雲雀が沢田に対する感情が今も昔も変わっていないこと。沢田の方はわからないが、想像以上に甘ちゃんで馬鹿だということ。まさかまた生きてボンゴレに戻れるなど微塵も思ってなかっただろうに。きっと今頃沢田が泣き落としでも使って守護者の件を認めさせているところだろう。
リボーンはそっと部屋を後にすり。目指すは沢田の父、沢田家光の元。
「ヒバリを守護者に戻すのは簡単にはいかねーよなやっぱり」
はあ、と幸せそうなため息をついて、部屋の扉を閉めた。
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