13
―五年前


「最近僕の周りにルイーザとかいう女だまとわりついてくるんだ。赤ん坊、何か知ってる?」
「ルイーザか。そういえばトゥットファミリーのボスの娘かそんな名前だったな」
何の気紛れかリボーンが応接室に入った瞬間、雲雀が徐に口を開いた。
「そういえばその女もトゥットがどうとか言っていたっけ」
「何を言われているんだ」
雲雀は書類の山から顔を上げてリボーンの方に顔を向ける。表情からは何の感情も読み取れない。
「取引しない?」
「何のだ」
彼―雲雀とは今までにも何回か取引をしたことはあるがこうやって彼から持ちかけられたことは滅多になかった。
「五年計画だよ」
「五年計画か」
雲雀はせせら笑う。
「あの女は放っておいても好き勝手話しかけてきて助かったよ。お陰で色々な情報が手に入った。ボンゴレにとっても悪い話じゃないと思う。ただ―」
雲雀が話した計画を簡潔にまとめるとこういう事だ。
まず、雲雀がボンゴレを裏切った事を装い、ジャンニーニに作らせた十年バズーカを持ってトゥットファミリーに入る。トゥットファミリーは長年の因縁の相手であるボンゴレを潰したく、しかし厳重なセキュリティにより、ボンゴレには侵入すら出来ない。だから雲雀が向こう側に入り、ボンゴレの当たり障りのない情報を流し、リボーンにはこっそりトゥットの情報を流す。そして雲雀の力によってトゥットファミリーを大きくし、ボンゴレボス暗殺計画をたてる。そしてボンゴレとの交渉を装い射殺を試みるが失敗。逆に雲雀が沢田によって倒される。
五年もあれば雲雀がボスの娘の恋人ということもあり、重要な役につくのは容易い。そして雲雀が中の歯車を少しずつ狂わし、暗殺計画失敗による内部の混乱に便乗してボンゴレがトゥットを潰す。これを五年計画と雲雀は名付けた。
若干15にしてこのような頭の回転の早さにリボーンは舌を巻いた。
「どうして十年バズーカが必要なんだ」
「向こうを信用させるのと五年前の沢田綱吉を助けるため」
「よく意味がわからねーんだが」
「別にわからなくても困らないから大丈夫だよ」
腑に落ちなかったが雲雀がこういうのだから必需品なのだろう。
「ただ、沢田綱吉には辛い思いをさせる」
この計画を成功させるにはルイーザとかいう娘の恋人になるのは必須事項だ。その為には沢田と別れなければならない。
「お前はいいのかそれで」
リボーンにしかわからないが付き合っているのだから当然と言えば当然だが雲雀だって沢田の事が好きなのだ。
「トゥットはどうやら麻薬とか裏で流して大儲けしているらしいね。風紀が乱れるのは許さない。草食動物に手を出すのはもっと許せない。並盛にあるものは全て僕の物だ」
この草食動物というのが固有名詞で使われていて沢田を示していることは一瞬でわかる。
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