12
沢田は骸からもらった書類を握りしめたまま、リボーンの元を訪ねた。
「リボーン。お願いがあるんだけど」
「ヒバリをもう一度守護者にするって話か?」
「うん」
まだ何も発していないのによくわかったなと沢田は一人感心する。
雲雀がボンゴレ医療班によって治療を受けている間に全て事を済まそうと沢田はリボーンと執務室で話し込む事にした。
「勿論ヒバリさんがOKしたらの話だけど」
この時初めて聞いたのだが、雲雀の浮気が発覚する一ヶ月程前、リボーンは彼から『守護者の座を降りる』とボンゴレリングを受け取っていたのだというのだ。不審に思ったリボーンが彼に理由を聞いても適当にはぐらかすだけで、明確な事を教えてはくれなかった。だからリボーンは独自に調査をして雲雀の浮気事実を突き止めたらしい。浮気相手の素性も全て。本当リボーンは敵に回したくない。
話を戻そう。
そうして雲の守護者がいなくなってしまい五年もの間、ずっと空席だったのだ。
リボーンも中々条件にあった人物を見付けられなかったのか、空席に関しては何も言わなかった。もしかしたらこうなるのも読めていたのかもしれない。あくまで沢田の推測だが。
「大丈夫だろ」
「ヒバリさんがOKするってこと?」
「嗚呼」
「どこからその自信が来るのさ」
「俺の勘だ」
笑った。しかし彼の勘の鋭さは馬鹿に出来ない。
「それに守護者になったらヒバリさんに誰も手出し出来ないし」
沢田はリボーンを見たが彼は顔色一つ変えなかった。
「リボーンも」
「まあ守護者には手荒な真似はしねーよ」
「ん」
沢田は部屋を後にした。目指すは治療中の彼の元。
「元々手を出すつもりはないがな」
リボーンのその声がドアの向こうで放たれているとは知らずに。
「五年計画成功だな」
沢田は雲雀の元へ向かった。

「骸、ヒバリさんは?」
集中治療室の前にはまだ骸が立っていた。
「先程意識が戻りました」
「そっか」
ほっと胸を撫で下ろす。あの時、手加減はしたが、彼が上手く直撃されるように動くので思ったより怪我が深く、凄く心配で不安だった。
「ねぇ骸」
「何ですか」
「10年前、俺を助けてくれたのって……ヒバリさんだよね?」
「さあ。それは本人に聞いてみたらどうですか」
治療室の扉を開けて目で中に入れと言っている。
「ありがとう」
本来、まだ面会は許可されてないが、骸が扉の鍵を開けてくれていた。
「あ、そうだ。忘れてた」
握りしめていた書類を骸に手渡す。
「何のつもりで渡したのかわからないけど、改めてこれを見て色々決心ついたよ。ありがとう」
お前はどうせ嫌がらせのつもりだったんだろうけどな。
沢田は骸に礼を言って中に入ると骸は静かに扉を閉め、幻覚で消していた『面会謝絶』の札をそっとドアノブにかけてそこを後にした。
「あれは嫌がらせのつもりだったんですけどねぇ。……全く馬鹿馬鹿しくてやってられませんよ」
骸は苦笑した。
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