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まだ諦めるなという骸の言葉を信じて雲雀を彼に託し、沢田は自分のすべき事に取りかかった。
雲雀という要を失ったトゥットは要請を受けてきた応援のお陰か呆気なく崩壊した。
「十代目っ。もう終わりました」
「ツナっ」
山本に肩を揺すられ沢田はハッと我にかえった。
辺りを見渡すといつもより余計に暴れてしまったのか、自分の仲間以外は皆地に伏していた。
「ツナ、雲雀が気になるのか?」
ビクリと体を震わせてしまった。肯定であるのは誰の目にも明らかだ。
「六道の野郎から聞きました。心配する必要なんかないですよ。今更なんだよっ」
「でもツナは気になるんだよな?」
答えをわかっていながらも山本は聞いてくる。
頷く代わりに沢田は走り出した。
「十代目っ」
ごめん、ごめん。獄寺くん。沢田は心の中で彼にひたすら謝った。

「骸っ。ヒバリさんは?」
走ってきてボンゴレの集中治療室の前には既に骸が立っていた。息を必死に整える。
「今ボンゴレの最大限の力を使って治療中です」
「、そっか……」
「誰かさんが情けをかけたお陰で一命はとりとめたようですけど」
骸に睨まれて思わず縮こまる。
「だって、ヒバリさんには士気が感じられなかった。何か俺に殺されたがってる気がした」
攻撃するとき彼の能力なら沢田の命を奪うくらいわけなかっただろう。だが、急所は外されて攻撃を受けた。なかなか出来る人でないと難しい技だ。
「本気を出してない人に無理に攻撃なんかしたくないよ」
「中途半端な優しさですね」
集中治療室と書かれた看板を何となく見上げる。
「でも動けないようにはしたよ。此方の無駄な血を流したくなかったから」
ふん、と骸は鼻で笑った。
「いつもより頑張ったそうじゃないですか」
連絡がもう来たのか。流石と言うべきか、ボンゴレの情報網。
「そんな君にプレゼントです」
目の前に封筒が差し出された。
「……骸から?」
「それは見てのお楽しみです」
さあ邪魔ですから向こうに行ってくださいと追い出されてしまった。
執務室に戻りソファーに体を投げ出す。
手にもったままの封筒の封を開ける。
「これは……」
中に入っていた書類を読んで暫く考え込んでいた沢田は意を決して部屋を飛び出していった。
何故彼はこれを沢田に渡したのだろう。これを今更見てもわかっていたことなのだ。

あの封筒の中には、どうやって骸が手にいれたのかわからないが、リボーンによる雲雀の浮気調査報告書であった。

彼はどう思っているかわからないけど、俺の気持ちはきまっている。
そう簡単には死なせてやらないのが彼にとっての最大の罰であり俺の我儘でもある。
ヒバリさん。俺は。貴方が。



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