カウント8
「ふあぁ。眠い」
一つ大きく伸びをして沢田はベッドからモソモソ出た。
今日は月曜日。昨日はあろうことか雲雀さんとデート(とリボーンは言っていた) していた。
今から考えるとかなり綱渡りだった。勿論命の。

あの雲雀さんとデート等信じられない、というのが普通の人の感想だ。しかし沢田に言わせると、「しちゃったんだから仕方ないだろ。俺だって信じられねーよ」だ。
それはともかく、無事朝日を拝めることが出来て良かった。沢田は制服に着替え始める。
遅刻魔の彼にしてはかなり珍しい行動だ。
昨日無駄に神経を使ったため珍しく早く布団に潜り込んだら朝早く(沢田にとっては)目覚めたと言うわけだ。いつもこうすればいいのだが彼は普段は彼の周りの誘惑(ゲームとか漫画とかはたまたテレビ等数えたらきりがない)に負けて気が付くと夜が明けていたりしているのが日常だ。
そんなこんなで制服に着替え終わると朝食を食べるためにタンタンと軽快な音をたてて階段を降りる。
普段の彼の怠惰な生活振りを知っている者が見れば明日天地がひっくり返るんじゃないかと本気で考えるだろう。

「早起きって確かに良いことなのかも」

そこら辺は雲雀さんに感謝しなくちゃと呑気にブツブツ呟く少年はとっくに家を出ていて道端で誰もいないことを良いことに大きく伸びをする。
朝日はキラキラと輝き辺りを暖かく照らしている。

「良いことかも、じゃなくて良いことなんだよ」

噂をすればなんとやら、なのか沢田が振り返ると先程一人言の中に登場していた(させていた)雲雀が立っていた。
やはり沢田であることを確認すると、
「これで風紀の乱れが一つなくなった」
と安心したように口角を僅かに上げる。
「雲雀さん。何でこんな所に……」
「君を迎えに来たに決まってる」
ため息までつかれた。
雲雀を知らない女子が聞いたら赤面物の台詞だが生憎沢田は雲雀の性格を知っているし、雲雀には勿論そんな意図はない。
「俺ってやっぱり風紀乱しまくってるんですか」
「当たり前だろ。草食動物が来てから並盛中の風紀は二倍も乱れている」
二倍って俺だけでなるものなのかと沢田は思うが恐らく彼(またはその周り)が乱すから相乗効果で増えていったのだろう。
マフィアなんかにはならないと言っているのに絶対リボーンには聞こえていない。いや聞いてないんだろう。

「俺のことが心配ですか」
「まあ。並盛の風紀をいつ乱すかわからないし」

本当はずっと傍にいたいくらいだ。
これも何気無い一言だとわかってはいるものの沢田の心臓は軽く音をたてて跳ねた。


〈end〉

2010.05.30

[ 8/9 ]
*Prev表紙Next#
top
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -