「あー今日は天気がいいなあ」
ここは屋上。俺、沢田綱吉は冥土土産を必死に増やそうという口実で授業をサボっています。
どちらかというとただ単に授業サボりたかっただけなんですけどね。
まあそれもこれも全て家庭教師のせいなのだ。
それは昨晩のこと。
「オイ、ダメツナ」
「ん?」
ちょうどご飯を食べていた俺はごくん、と喉を鳴らして口の中を空にした。
「ヒバリとはどうだ」
「は?」
なんでいきなりヒバリさんの名が出てくるんだよ!と言おうとして噎せてしまった。
「むぐっ…げほっ」
「その様子だと何かあったな」
「何もないよ!ただこの間呼び出されて、その…」
み、見つめあいました、なんて言えるわけないだろと自分に突っ込みを入れる。
大体見つめあうって何だよ!恋人同士じゃあるまいし。
「ち、このヘタレが」
「ん?何か言った?」
リボーンが小声で何か言った気がしたが、よく聞き取れなかった。
「お前、暇そうだな」
「そそんな、滅相もない!」
此処で否定しておかないと絶対リボーンのことだから無理難題を押し付けてくるに違いない。
「そんなお前に宿題だぞ」
「そら来たー!!」
思わず叫んでしまった。そうだ。リボーンは相手の都合なんて思いっきり無視する奴だった。そうだよ。うん。
リボーンはあっさりと俺の突っ込みを無視して喋り出した。
「日曜にヒバリとデートしてこい」
「…はい?」
一瞬思考回路が停止した。それは俺に死ねと言ってますか?俺そんなに不必要ですか邪魔者ですかあああ?!
「んなわけねーだろ。ウザイんだよお前ら」
「どこがだよ!」
少なくともお前には迷惑はかけてないぞ!大体ヒバリさんと俺、接点ないし!
「鈍感」
何でだよと突っ込みたくなるが、これ以上体力を消耗させたくないのでぐっと堪えた。
もうリボーンがわけわからない。取り敢えず俺の命は明後日までと見た。
「ヒバリには話を通しておく」
あ、そうですか。勝手にして下さい。俺は無視を決め込むことにした。隣でリボーンがニヤリと笑っているような気がする。
「文句があったらこうだからな」
と言って俺に銀色の冷たい物体をテーブルの下から向けてきた。
「あーわかったよわかったから」
もう俺は泣きそうだ。取り敢えずこれは夢だと思って早く寝よう。
そうして布団に入って次の日所謂今日になったがどうやら昨晩の出来事は夢ではなかったらしい。
俺の現実逃避は儚く散った。
「というかリボーン、ヒバリさんに話を通すって大丈夫なのか?」
群れるのが嫌いなヒバリさんにとってデートなんて無理だろう。でももしリボーンのあらゆる手でデートをこじつけたとしたら俺はヒバリさんに会えない。というか普段からあまり会ってない上会いたくもないですしね!
もうこれ以上寿命縮めたくないから彼に会わないように授業サボってますしね!
今日は金曜。明日は土曜明後日は日曜。
考えるだけで鬱になりそうだ。
俺はため息をついて心の中で叫んでやった。「リボーンの馬鹿野郎!」
どこかでリボーンが「感謝しろよ。このダメツナが」と言った気がしたがこの際聞こえなかったことにしよう。
〈end〉
2009.09.07
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