カウント5
「……」

「…」

「…あの」

「何」

「…いえ…」

この雰囲気をどうにかしたいけど無理だ。

何故今のような状況になっているかというと、10分前に遡る。



「獄寺くん、山本…一緒に食べない?」

「も、もちろんです十代目!」

「ツナそれ毎日言ってるのな〜」

「あはは…」

だって小学生までずっと一人で給食食べてたから、ちょっと遠慮しちゃうんだよなぁ。

俺はそう呟いて二人と弁当を広げて食べた。

「ふぁ…美味しかった」

弁当をしまおうと席を立ったと同時にバンッと勢いよくドアが開いた。

「え…ヒバリさ…」

まさかのまさか。あの雲雀恭弥が突然入ってきたかと思うと俺の腕を掴んで引っ張っていく。

「え…ちょっ…!!」

「十代目を離せ!!」

獄寺くんを山本が止めてくれている。

「あの…」

どこ行くんですかと言う前に「煩い」と睨まれてしまった。

連れてこられた先は、応接室。

そう、応接室だ。

一般常識が只でさえ通じない(原因はこの人だ)並盛の中でも類をみない無法地帯。


俺はこの先起こりうるであろうことを脳内でシミュレーションして青ざめた。

ヤバい。どのみち俺は生きて帰れない。

俺は死を覚悟した。

そんなことも構わず、ヒバリさんは俺を引っ張っていく。

遂に着いてしまった。

処刑場。生きては帰れない魔の洞窟。(前一度だけ入って軽症だった気がするが気のせいだ。)

ヒバリさんはバンッと勢いよくドアを開けると、俺を離した。目でソファーに座れといっている。まさかと思うけどこのソファー電気いすとかじゃないよな。
座ったとたんビリビリなんてことはないよな。

俺はもう死ぬ覚悟をして座った。が、当然何も起きなかった。
そしてヒバリさんはというと俺が座ったのを確認すると自分のいすにドンッと座った。そして冒頭にもどる。俺の頭の中は混乱しっぱなしだ。

ヒバリさんのしたいことがわからない。
風紀を乱している(成績不振とかで)から俺を呼び出して注意という名の粛清をするのかと思いきや、何もしない。

一体あんたの意図はなんなんだ!!

「うん」
「はいっ!!」
「もういいよ、帰って」
「は、はあ…ってはいぃ!?」
「何?僕のいうことが聞けないっていうの」
「いえ…別に…か、帰りますっ」
というが否や俺は応接室を飛び出していった。

ヒバリさんは俺を見つめる(なんかこの言い方だと変だな)だけで何もしなかった。

あんなにきれいな顔で見られるといくら相手が男でも心臓に悪い。

(ヒバリさん…何がしたかったんだろう)

そうこう考えながら教室にもどる途中に五時間目の予鈴のチャイムが鳴った。

〈end〉

(オマケ)
応接室に残ったヒバリは、というと

(最近彼を見るといらいらしたけど、彼一人だとイライラしなかった。寧ろうれしかった。やっぱり群れすぎだよ。沢田綱吉。)

実はヒバリは無自覚でヘタレだった。

2009.07.04
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