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俺は廊下を全速力で走っていた。
目指すは応接室。
何故俺が応接室に向かっているかというと、それは三時間程前に遡る。
いつものように昼御飯を買いに行った獄寺くん達より先に俺は屋上に向かっていた。
バタンと音がして扉が開くと、また先客がいた。
「前もこんなことありましたよね」
俺は思いきって先客に話しかける。
その人はゆっくりこちらを向く。
「そうだっけ」
「そうです」
先客―ヒバリさんはそう呟くと俺の方へ歩いていった。
彼の綺麗な顔が近付くにつれて、以前の出来事を思い出して頬が熱を帯びてくる。
「今は何もしないよ」
今は、という言葉が引っ掛かったが、気にしないことにした。
「放課後」
「へ」
間抜けな声を出してしまった。恥ずかしい。
「応接室」
単語しか話していないが、その意味するところを想像して背筋が凍るのを感じた。
「ヒバっ」
ヒバリさん、そう言おうとしたが、彼の手によって遮られてしまった。
「誰にも喋るな」
そう言うとヒバリさんは僅かに眉を潜めて、屋上から消えた。
恐らくこの事は他言無用という訳だ。
彼がいなくなって暫くしたら、獄寺くん達が現れた。
いつものように弁当を広げて他愛のない話をする。
しかし俺は先程のヒバリさんの台詞が頭から離れなかった。
『放課後』
『応接室』

俺は一体何をされるのだろう。
超直感は危険を告げていた。

そうして俺は応接室の扉を開けた。
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