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「あの、」
どうしてですかと呟く前に唇が塞がれてしまった。
「今回はこれで我慢する」
邪魔だとでも言わんばかりにヒバリさんは俺を押し退けて扉の向こうへ消えた。
あまりの出来事にしばらく放心状態だったが、獄寺くん達が屋上に何やら焦った様子で入ってきて我にかえった。
「十代目!お怪我はありませんか」
パンを腕に抱え込みながら俺の心配をする獄寺くんに、
「怪我なんてするわけないよ」
と言った。
それを聞いて何故か山本まで胸を撫で下ろしていた。
「リボーンさんも心配性なんですね」
お前に言われたくないだろう。
よく状況は掴めなかったが、獄寺の的外れな発言に山本と顔を見合わせて笑った。
「何もなかったんだな」
山本は笑いながら俺の頭を撫でる。
それは嘘だったが、二人に心配かけたくなかった上、わざわざ言うほどの事でもなかったので、適当に相槌を打った。
それから三人でいつものように昼御飯を食べた。
しかし俺は先程のキスが頭から離れなかった。
何故かヒバリさんはキスをした後一瞬だけ顔を歪ませていた。それはまるで泣くのを我慢しているかのようだった。
特に意味はなかったのであろうあの行動によって俺のファーストキスはものの見事に奪われてしまった。
しかしその時の俺はそんなことに気にも止めていなかった。
嵐の前の静けさ。空は雲一つない青空であった。
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