翼が名前兄に見せたい物があるとメールを寄越してきたから、僕は名前兄を呼んで屋上庭園に来ていた。
「ぬはははは!これだ、これ!」
ババーン!と効果音が付きそうな勢いで扉を開いた翼は、名前兄の背中に乗り掛かりながら古ぼけた一冊のアルバムを取り出した。それを目にした途端に顔を真っ赤にさせた名前兄が翼を背中からどけて、アルバムを奪おうとする。
「寄越さんかアホ!!」
「アホって言った方がアホなんだぞ!」
「そのアホに勉強教えてもらいに来るお前は天性のアホやな!」
「名前兄ちゃんのバカーー!!」
「バッ、バカは言うな言うたやろ翼あああああ!!」
単純な罵倒の言葉の応酬を見ながらも、これが星月学園の元星詠み科主席と現宇宙科主席の戦いかと思うと凄く下らなく感じる。──ズズーッとパックジュースの中身を余す事なく飲み干していれば、翼が持ってきたアルバムとは違う物が僕の隣に置かれていた。
1ページずつ開いていけば、紫色の着物を着た男の子が翡翠色の髪の男の子の隣で嬉しそうに破顔する写真が一枚入っていた。
一枚、また一枚と見つけた写真の大半にはその男の子が写っていた。最後のページには『名前 七歳』と書かれた写真。思わず食い入るように見つめていれば、先程まで離れてケンカをした二人が僕を見下ろしていた。
「うわ、俺や…」
「名前兄ちゃん?これが?………ちっさい!!」
「ぶん殴る!!」
「ぬぬぬぬぬぬぬぬ!?」
名前兄の拳を交わしながら翼は僕を見たかと思えば、にんまりと口角を上げて叫んだ。
「梓が写真をバラまこうとしてるぞ!」
以下後書き
宴寿様
ギャグを入れれたのか分かりませんが…こんな風になってしまいました。
リクエストありがとうございました!