「凌せーんせっ」
「……夜久姉やないか」
「朝っぱらから不機嫌な先生を見かけては手元にあった飴をあげようとした生徒にそれはなくね?」
「はっ」
「鼻で笑うとか無しでしょ」

転入生が来てから、星月学園に通う女子生徒は四人になった。月子も友達になるの!と意気込んでたのを覚えている。幼なじみ二人がいるから大丈夫だろ…なんて思いながらも、あたしは未だに転入生とは接触していなかったりする。噂に寄れば、月子と同じ科の転入生を校舎に案内したのは凌先生だとか。

「疲れてるっしょ、先生?」
「………時期にない転入生来たら書類整理を琥太ちゃん先生に手伝わされんねん」

如何にも面倒だと顔に出した先生は、あたしの手のひらからぶどう味の飴を引ったくった。あ、泥棒。

「…言うても、一年にも転入してきたんおるけどな」
「あー、聞いた聞いた」
「学園のプリンセスは情報が早いなあ」

先生感心してまうわ、なんて飴を噛みながら先生は笑った。