今日から二年生になった私とお姉ちゃんは、哉太と錫也も交えて登校するのが日課だったりする。中学の頃、お姉ちゃんはイギリスに居たからか、今のこの形が酷く懐かしくて、愛おしい。───けどまさか、こんなに早く壊されるなんて思わなかった。







「今日は転校生が二人もいるぞ!自己紹介しろ!」
「土萌羊」
「さ、堺姫華…です!」

不機嫌さを微塵と隠さない表情で名前を紡ぐ赤い髪が眩しい男の子と、緊張した面持ちで挨拶をしながらも綺麗な金色を太陽に透かした人形みたいな女の子が、陽日先生の隣にいた。彼女は、私とお姉ちゃんと彼女で三人目の女の子なんだろう。

───…仲良くなりたいなあ、何て思いながら女の子を見ていたら、不意に男の子と目が合った。男の子の綺麗な赤い宝石みたいな目が、やんわりと細められて柔らかく微笑んでいる事が見て取れる。

見られていた事に驚いたのと、笑いかけられた事に驚いた私は顔を机に伏せた。土萌くんの笑い方は、凄く誰かと酷似してて、きっとそれが私が机に伏せる起因なのかもしれない。…多分、いや、絶対に、その誰かがお姉ちゃんだと分かったからこそ恥ずかしいんだろう。

───…私って、案外シスコンだったりするのかな。でも、お姉ちゃんだって変に過保護だったりするし、普通だよね?脳裏を過ぎた疑問に唸りたくなる衝動をどうにか抑える。きっとそんな私を錫也辺りは気付いてるのかもしれない。

熱を持ったままの頬を冷やす為に机にすり寄れば、隣の席の男の子がそんな私を見て目を細めた。ああ、まだ春なのにこんなに暑いなんて、何でだろう。