午前にある授業は天文科と星詠み科やな、と小さく呟いてから書類を詰め込みに詰め込んだファイルを脇に挟んで歩く。所々、教室などを見ていけば、やっぱり自分が在校していた時よりも綺麗になっていた。懐かしさや寂しさが少しだけ入り混じって、気持ちが悪い。

「凌くん…おはよう」
「津神…頼むから敬語使おな」
「…善処します」

前髪を乱雑に括ったまま俺の白衣を引っ張って遊ぶ津神を無視して、廊下の窓枠から外を覗く。窓枠から見えたのは弟と親戚である二人。そう言えば、あの三人は一年で成績上位やとかなんとか先生らに言われて面倒くさかったわ…。

「杏くんと…梓くんに翼くん?気になる?」
「あ?…ま、身内やしな」
「素直じゃないね、凌くん」

肩に置かれた手を叩いて窓に背を向ける。握りしめたままの手の平は、既に赤く爪の跡が残ってる事に気付いた俺は、強く手を握りなおし、廊下を歩き出す。

「ね、凌くんは、星詠み出来る?」
「弟が出来るから出来るとは限らんやろ」

ふらふらと隣を歩く津神を横目に、ふと頭に浮かんだイメージを振り払うように、俺は頭を振った。