「──生徒会に入れ!」
「ごめんなさい嫌です!」
「今なら俺がついてくるよ、お嬢?」
「ごめんなさい嫌です!」

残念だよ、なんて笑いながらもの席に座る白銀さんに、私の口元は無意識に引き攣った。後ろと前に座って笑ってる二人組を睨んでから、反対側に座りながら迫って来る会長のシンボル(つまり前髪)を掴んで引っ張ってやる。

「しつこい男は嫌いです」
「俺は強気な女は嫌いじゃないだだだっ」
「一樹気持ち悪いからな」
「んだと…!?」

ぎゅっと引っ張った前髪から手を離して、私は会長の頭をパンッと弾くように叩く。ダメージが大きかったのか、頭を抱えながらどうにか痛みを堪えてから会長はしゃがみ込んでは、立ち上がった。──そして、私の頭を少しだけ強く撫でてから、白銀さんの首根っこを掴んで教室を立ち去って行く。

「…超お騒がせだなお前」
「ほーんと、会長も飽きないな!」
「二人共、黙ろっか」

もうじき休み時間が終わると思った途端、後ろから肩を引っ張られて、椅子にもたれるように倒れ込んでしまった。私の肩を引っ張った張本人は、八重歯を見せて笑ったまま私の肩に手を置く。そんな行動をする安部の、珍しくピンで留められていない前髪を撫でてみれば、それを真似るように安部は私の髪をゆっくりと撫でた。

「教室内でのイチャイチャ禁止」
「これはイチャイチャじゃないもーん」
「うざい」
「うざくない!」
「あ、べ…っ絞ま、る!」

向島と笑いながら喋る安部の腕を叩けば、忘れてた!とわざとらしく舌を出して私に謝った。──よし、殴る。近くにあったペンケースを安部の頭に力の限りぶつければ、私の勝ち。ざまあみろ。

「向島ーーっ!天月が俺を殴ったあああ!」
「…額、切れてんぞ」
「天月のバカー!!」

痛みに喚く安部に呆れながらも、ポケットからいつも持ち歩いているらしい絆創膏を取り出した向島は、安部の額にパシンッと音を立てて貼った。───そして叫ぶ安部。

「向島が鬼畜だぞ!」
「……うぜー」

安部、多分向島は面倒臭いだけだよ。


改訂/20120818