──夜、目を覚ました。

(変な夢だな、今の…)

いつもなら明日の天気とかそんな単純な物ばかり視ているから、凄く変な感じがする。最近夢で視なかったから頭が痛いし、よく分からなくなってきたと思考を巡らせながら頭を掻いた。

取り敢えず時間を確認してからしようと枕元にあった携帯を開けば、どうやら丑三つ時を過ぎていたみたいで、益々俺の頭は痛み出す。

「──つか、姉さんじゃなかったか…あれ」

姉さんと複数人の男子が笑い合う姿が視えた。その夢では一人の女の子が姉さんの隣をちょこんと立っていて、それは多分同じ学年の彼女なんだろうなと痛む頭を撫でながら一人唸る。また先輩に話聞いてもらわねえと、なんて考えながら俺はもう一度ベットに倒れ込んだ。







朝、変に重さを感じて目を開いた。すると俺に馬乗りしたまま倒れ込むように眠る姉の姿が視界に映る。いつも通りの事でも、やはり自身が男だからだろうか。血縁者でも変に意識するのは、しょうがない。

「姉さん起きろって…」
「残念。起きてるから!」

俺が言葉を掛けるのと同時に起き上がった姉の姿に溜め息を吐いてから、頭を撫でるように手を乗せる。そんな俺の行動を甘んじて受け入れながらも、姉さんは笑ったまま今日の天気は?と首を傾げた。俺はそれに晴れが続くみたいだな、と返して姉さんを抱き上げるように脇の下に手を入れた。

「今日から陽汰も二年だったよね」
「姉さんは三年だな」
「………」
「………」
「……今年で卒業!?」
「今更気付いた顔すんなっての」

着替えてる俺に背中を向けながら、姉さんと俺は話をする。──俺はいつもの赤いパーカーに腕を通して、上にこの学校のシンボルが肩辺りに描かれたブレザーを着た。傍にあった鞄を掴んで、姉さんの腕をも掴んでから寮から飛び出した。

「陽汰と登校って初めてだね」
「…あ、ほんとだ」

登校しながら俺達は笑い合う。変わらぬ日々。

愛すべき毎日の始まりだ。



▽仲良し姉弟!


改訂/20120816