生徒会に二人の生徒が入ったらしい。──らしいと言うのは、私自身が会長から聞いたからでは無く、白銀さんから聞いたからである。一人の生徒をマドンナちゃんと白銀さんは呼んでたから、多分月子ちゃんなんだろう。

───もう一人の生徒は、未だに誰かとは聞いてない。白銀さん曰わく、いつか会うだろ?だとかなんとか。

「天月!パス!」
「うわっ、っ…安部!」

現在体育中。今日は、西洋占星術科との合同授業らしく、見慣れない顔がぽつぽつとあった。先生が休みだから適当にやっとけと言われた私達は、こうやってドッチボールをやっているのだ。しかも、天文科VS西洋占星術科ときた。

どっちも引くことなく、押せ押せな状態で戦いを繰り広げている。

───しかし、私は女だから外野で当てたり、パスをしたりを繰り返すだけ。疲れたら勝手に休憩しておくこともクラスメート達には認められているので、私は同じ外野の子と言葉を交わして、近くの木陰に座った。季節関係なく動けば体は汗をかいて熱を持つのは当然の事。パタパタと手を扇ぎながら、私は小さく溜め息を吐いた。

「天月さん?」
「あ、金久保くんじゃん」

不意に呼ばれた自身の名前に振り返れば、私を不思議そうに見つめる彼がいた。久し振り、と言えば彼も久し振りだね、と花が咲いたような笑みを向けてくれる。

「疲れたの?」
「うーん…いくら私でも体力は負けちゃうからさあ…」
「ふふっ、お疲れ様」
「ん、ありがと」

目の前で繰り広げられる死闘を、金久保くんと肩を並べて眺める。向島と安部が外と中で相手のクラスを攻めて、物凄く笑顔だ。それを見て、私は笑って二人に応援の言葉を投げかける。隣にいた金久保くんも、自分のクラスに言葉を投げかけて、楽しそうに笑った。

「今年の一年生はまた個性がありそうだったよ」
「ほんとに?うわ、楽しみだなあ…」
「そうだね、楽しみだ…」

私達は顔を見合わせて、笑う。──風に乗って舞う桜の花びらが太陽の光に反射して、どれもが別の物に見えた。今年もよろしくお願いします、と呟かれた声に私の方こそ、と返事を返して、私はこれからの未来に思いを馳せるのだ。

世界は今、桜色に輝いている。





▽ひとまず主人公が2年生にあがってからの春のお話は終わり!次からは原作?…ゲーム設定です。

改訂/20120816