1つ目は俺を縛らないこと。2つ目は笑顔でいてくれること。3つ目は俺の束縛に耐えること。4つ目は俺と柳生を見分けること。5つ目はテニス部の連中と必要最低減喋らないこと。
「…そんなに?」
「これを我慢さえしてくれば付き合えんじゃから、いいじゃろ」
「だからって比呂士と仁王を見分けれるか馬鹿」
「……、」
「……束縛は耐えれるけど」
そっぽを向きながら呟かれた声に俺は今日1番の笑みを浮かべる。俺の笑顔に目を見開いた名字は肩をさするように腕をまわした。俺は名字の頭を撫でてまた笑みを浮かべて、額に唇を落とす。
さっきまで違う方を見ていた名字は俺の方に振り返って顔をうっすらと赤くする。きゅ、と手のひらを掴んで俺の口元に持って行き、また、唇を落とす。指を絡めようとしたら名字の反対の手が俺の結っていた髪を掴んでいた。
「いたい」
「調子のんな馬鹿」
「ひどい」
「比呂士呼ぼうか?ねぇ、比呂士呼ぼうか?」
さっきから気になっていたその『比呂士』って呼び方が勘に障る。俺は名字の口元に人差し指をちょんっと触れて、これ以上喋るな、と告げた。名字は、目を見開きながらも口を閉じて、首を傾げる。
「…仁王?」
俺と恋人になるために必要なこと。
1つ目は俺を縛らないこと。2つ目は笑顔でいてくれること。3つ目は俺の束縛に耐えること。4つ目は俺と柳生を見分けること。5つ目はテニス部の連中と必要最低減喋らないこと。
「あと2つ追加、な」
「……は?」
6つ目は名前で俺を呼ぶこと。7つ目は一生俺を見つめ続けること。
(名前って俺も呼ぶから)