俺がこの世界に来てどれくらいたっただろう。身寄りのない俺を拾ってくれた彼女には感謝してる。お互いにまだ名字で呼び合っては縮まない距離をもどかしく感じても終わりは目の前にあるから何も言えない。簡潔的に言えば、早く帰りたい。

ここでテニスをしても周りと環境が違う所為で思うようにラケットが振れない。楽しくもない。虚しいだけ。日に日に帰りたいと言う気持ちが強くなるだけだった。彼女の学校に行ってテニスをする人を見ていたら泣きたくなってしまう。

「…幸村くん?」
「…っ」

目を見開いて俺を見つめる彼女は何を思うだろう。彼女の知ってる俺は弱音を吐かない、強い奴なんだろう。でも、強がることに疲れたんだ。泣きわめきたい。会いたい。家族に、仲間に、ライバルに。いつもの景色が恋しいんだ。君の好きな俺には、なれないんだ。……慣れっこなかったんだ。

だって、





( おれはおれ、だから )




▽幸村はちゃんと中学生だよって話