「旭川じゃん」
「む、白鳥の知り合いか?」

隣を歩いていた白鳥の小さく呟いた声が聞こえた俺は白鳥の視線の先にいる一人の少女に視線を移した。犬飼と青空に挟まれてそいつは辺りを見回しながら歩いていた。三人が行く先はどこかは知らない。しかし隣にいる白鳥が仲間外れだ…!と鼻を啜りだしたのでどうにかしたいと思う。

「行くか?」
「っえ、…いいのか?」
「俺もまだ自己紹介してないしな」

小さく笑えば白鳥は、あの時は夜久だけだったしな!と嬉しそうに笑い、大声で叫びながら犬飼達の元へ走り出した。…とりあえず俺も行くか。走る白鳥の背中を追うように歩き出せば、白鳥は旭川と言う少女にがばっと勢いよく抱きついた。

「…っ白鳥!」
「がっ…宮、じ…!」
「白鳥どんまい」
「ほっといていいの、これ」
「大丈夫ですよ。さ、天文科に行きましょう」

少女、旭川に抱きついた白鳥の襟を掴んで引き離せば、ケラケラと笑う犬飼。旭川は困ったように白鳥を見ながらも、青空に差し出された手に視線を移し、更に困ったように眉を寄せた。

それに気付いた犬飼が旭川ー、と間延びした声で旭川の手首を握りしめ、歩き出す。目指す場所は天文科だー!と手を上げた犬飼に驚いた表情をしながらも、嬉しそうに笑う旭川に俺は少しだけ目を見開いた。

「あ、旭川…あいつは宮地って言ってー…弓道部の副部長なんだぞー?」
「…別に聞いてないってば」

俺を見て、また眉を寄せた旭川は顔を背けて、天文科に続く廊下を歩いて行った。





Above all, be true to yourself

(何よりもまず自分に忠実であれ)