旭川笑。好きな食べ物は甘い物とすっぱい物。苦手な食べ物は苦い物全般。好きな科目は現国と歴史。苦手な科目は理数全般。特技無し。趣味は空を眺めたり音楽鑑賞。神話科に入ったのは神話が面白いから。星月学園に入った理由は、星について十分に学べそうだから。
「───…っと、こんなものかな?」
「はあ…」
つらつらと聞かれていく質問に答えながらも私は小熊くんを待つ。切実に小熊くんが早く来る事を私は願います。これ本気。目の前の白銀先輩は、ふんふんと頷きながらも笑いながら私に向かってペン先を向けた。
「学園のそれはそれは、チキンでヘタレな臆病者な男達を代表して聞くよ……ずばり、好きなタイプは?」
「普通の人です」
思わず即答した私は内心自分の言った答えに首を傾げようとするけれど、ひとまずそれは止めた。白銀先輩はきょとんとした様子で私を見つめる。普通の、人?と首を傾げた後に、んーとねえ?と唸りながらメモ帳を捲る白銀先輩に私は内心焦りながらも、表情筋を抑えた。
「あの、先輩」
先輩呼びが難しいっていつ以来だろう。少しだけ言葉を詰まらせた私を見て、緊張しなーいの!と言った白銀先輩に小さく返事を返しながらも先輩を見つめる。先輩はどうかした?と首を傾げながらメモ帳にすらすらと文字を書き続けたまま。
「小熊くん、いつ来るか分かりますか?」
「…ああ、あの子はいつ来るんだろうねえ、くひひっ」
怪しい笑みがリアルに怖いと感じた私は立ち上がっては、失礼しますと呟いた。彼が私を止める事は無い。
「君は、マドンナちゃんをどう思う?」
そう呟いた彼を見て私は今まで抑えていた表情筋をふっと緩めて笑みを向けて言う。夢の世界じゃないと薄々感じさせられた世界で少しだけ自暴自棄になった私の言葉は、何ら変わりのないものだった。
「───…世界の中心、もしくは絶対的な存在…ですかね」
我ながら意味が分からないけれど、ヒロインである彼女が絶対的じゃなくてどうしようか。彼女が中心じゃない世界は成り立たないじゃないかな。それが、私の考え。
First come, first served
(早い者勝ち)
改訂/20130105