8/3 16:00



 それなりに裕福そうな一軒家のリビングで、椎名は広瀬とともに彼の叔母と対面していた。
「このようなときに押しかけてしまいすみません」
「あらそんな……こちらこそ真也くんに無理を言って申し訳ありませんわ」


 カフェを出たあと、椎名は広瀬を通じて広瀬のおばである平沼健太の母に連絡を取った。詳しい話をちゃんと聞きたいと思ったというのはもちろんだが、椎名には平沼健太との直接の面識は当然ない。写真の一枚でも入手できれば、というのが椎名の考えだった。
「……恥ずかしいわ、こんなみっともない顔で」
「いえ……お気になさらず」
「おばさん……」

椎名は思わず目を伏せた。当たり前だ。最愛の一人息子が二晩も何の連絡もなく帰宅していないのだ。それでも、母親の顔はかわいそうなほどに憔悴しきっていた。眠れなかったのだろう目の下の隈は彼女の心の中を表すように黒々としており、整えれば歳相応の気品ある顔立ちだろう容姿も(もしかしたら広瀬の家系はみなそうなのかもしれない)今はそれにまで気を払う余裕がないことがありありと見て取れる。

「ああそう、外は暑かったでしょう?気休め程度かもしれないけれど」
彼女は氷が浮かんだ涼しげなグラスを二人にすすめ、自身もソファに座った。

「ありがとうございます。では……息子さんがお出かけになられたときの服装や持ち物、様子など思い出せる限りで教えていただけますか」
「そう……ですわね。ええと、……」
カラン、とグラスが音を立ててから、彼女は再び口を開いた。
「服装は、ボーダーのTシャツにジーパンだったと思うわ。持ち物はわからないけれど……お金とか携帯は持っていってるはず。様子だけれど……普通でしたわ。友達が免許を取ったから、犬鳴までドライブしにいってくると朝出かけたっきり。夕方にはバイトがあるから帰ってくるって言ってたので、普通に送り出しました。まさか、こんなに長く帰ってこないなんて、思っても……」
そこまで言って、彼女はふと思い出したように言葉を付け足した。
「でも、こんなことを言ったらおかしいと思われるでしょうけど」
彼女は前置きして、不安そうに目を伏せながら言った。
「あの子、ちょうど前日の夜中、部屋で突然叫び声を上げたんです。私、あの子がこけたかなんかかと思ってどうしたのってドアをノックして聞いたんですけど、なんでもないって言って……」
首をかしげながら、彼女は言葉を続ける。
「ほんと、関係あるかどうかわからないんですけど、それぐらいしか今は思い当たらなくて……どうしたのって理由を尋ねても、何も言ってくれないんです」

そのとき、椎名の頭のなかに、先ほどの光景が思い浮かぶ。自分も思わず声を上げたあの光景を。
考え過ぎなのかもしれない。だけれど、なぜか無関係と思えない。

「あの……息子さんのお部屋を見せて頂いても?」
「ええ。何か、手がかりになるようなものがあればいいんですけれど……二階の突き当たりの部屋です」





「ここが、健太くんの部屋、か」
「そうみたいっすね……」
 まず室内に足を踏み入れるとベッドや簡易的な本棚、テーブル、ゴミ箱などがある。テーブルの上にはノートパソコンが置かれている。全体的に雑多としており、ゴミなどは捨ててあるもの服などは乱雑に置かれていて、いかにも男子大学生の部屋といった印象を受ける。
しかし、それよりも椎名には気になるところがあった。窓だ。普段なら気にもとめないだろうが、今は窓にどうしても意識が向いてしまう。椎名は少しだけ窓を警戒しながら、部屋の探索を始めた。

「お、ノーパソ見っけ」
「見るんすか?」
「ん〜まぁ大体パスワードがかかってるから見れないだろ、多分。試してみるか?」
椎名はにやりと笑って広瀬を見る。
「それもそうっすね。まぁ、電源入れるだけ入れてみるっす」
広瀬はノートパソコンの電源ボタンを押した。すると、起動音が室内に響き渡り液晶に光が灯る。
「……あ〜……パスワードないっすよ、これ」
「おお……」
「やばそうなの見るのはやめて、直前に何調べてたかくらい見るっすか?ブラウザの履歴とか」
「……お前と健太くんの仲の良さに任せる」
「あいあいさー!」
広瀬はピシっと敬礼して、若干楽しそうにインターネットのブラウザを立ち上げる。そして履歴を見ようとした瞬間、彼は椎名を呼んだ。
「センパイ、これ、修のブログみたいっす」
「ブログ?」
「よく見るページみたいなところにあったんですけど、……ちょうど行方不明直前までの記事があるみたいっす」
「おお!見る見る」


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7/25:暇だなぁ〜
暇だからブログの更新ばっかしてる笑
今日はバイトのセンパイとカラオケオールしてきた(・´з`・)
最近まじで暇だから、同じく暇な人遊びに誘ってください!
あ、でも今月末はドイツにまた行く予定なので、申し訳ないけどそれ以外でよろしく!!笑
じゃあおやすみ(つ∀-)
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7/27:夏といえば……?
怖い話っしょ!!!!笑
ということで健太と今日昼飯食ってる間延々怖い話してました〜(^^♪
途中で健太がジト目&涙目で見てきた笑
むかついたので今度犬鳴峠にいくことにします(^^)せっかく免許もとったし!
とか言いつつまぁ最初から免許取ったし、ちょっとドライブしたいだけなんですけど(*^_^*)
おやすみ〜!
ってか、初めて助手席にのせるの健太とか笑
コメント(7)

7/30:明日犬鳴峠にいってきます
いろいろ調べたんだけど、結構楽しみになってきた!民宿(温泉も!)もあるらしいけど、泊まりは金ないから今度かなあ

当然怖い話も沢山あって、こういうときは一人暮らしはつらい笑
そういえばネットでいろいろ怖い話みてたら、部屋からバンバンってめっちゃ嫌な音したわ……でも絶対に振り向くもんか!って思ってたら普通に収まったし(゚Д゚)

何だったんだろ超怖い\(^o^)/
あと健太が脅すみたいに変なメールしてきてマジ怖。笑

そういえば健太にこの話持ちかけたら、あいつは実家住んでるから最初は渋ってたけど、なんだかんだで飯とかうまいらしいぜって言ったら食いついたからよかった笑
あ健太このブログ見てるんだった忘れてた(`・ω・´)

ま、あんまり夜遅くだと、心霊スポットとかじゃなくても山道はちょっと運転の経験値足りないし、近くのショッピングモールにちょっと寄って帰るぐらいにします!

じゃ、おやすみ〜
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