あれから分かったことは、
表紙のモデルは黄瀬 涼太といって今どきのイチオシのモデル。らしい。

背も高く、スポーツも得意。
人懐っこくて、イケメンというのは彼のためにつけたあだ名と言っても過言ではない。らしい。

凄い人気で、ファンクラブまで出来てるだとか。

そんなことを教えてもらった。

正直昨日の人と違うと考えたかったが、同学年で尚且つこの学校にいると言うのを聞き、それは愚かな考えだと悟る。


(こんな笑顔なのに、なんであの時は…)


雑誌の表紙にある彼の笑顔と昨日の悲しい顔。


気になり始めたら、気がすむまで行動する性格のせいか、だんだん彼について知りたくなった。


「黄瀬君って何組なの?」











あれからクラスを教えてもらい、昼休みが終わった。
聞くなら放課後と決めていた私は、放課後すぐに彼のいるクラスへと直行した。


「あっれーなまえちんじゃん!!どうしたの?」


話しかけられた方を向くと、友人の一人がこちらに気づいて歩いてくる。

「あ、紫原君!」


紫原というのは私のことを"なまえちん"と変なあだ名でよんでくる少し変わった人で、この前黒子君に誘われて見に行ったバスケの試合の時に友達…?みたいな関係になった。

そんな紫原君に事情を話すと、面倒くさいと言いつつも、彼を呼んできてくれるみたいで、私にここで待つように促した。


「連れてきたよ」

しばらくすると、声がかかる。
本当に連れてきてくれたのか、紫原君の隣にはいつぞやの黄色い頭が見えた。


「じゃあ、俺赤ちんに呼ばれてるから〜」

「ありがとう紫原君。あとでまいう棒おごるね!!」


面倒くさそうに手を振って紫原君は赤司君のところ…(たぶん部活)に行ってしまった。



「…何の用ですか?」


去った紫原君の代わりに黄色い頭の彼がしゃべり始めた。


とりあえず、ここでしゃべると色々と注目を浴びるので有無を言わせず、私は彼の手首を引いて、走り始めた。


女子の力だ、ふりほどかれるかと思ったが、彼は引っ張られるがままでついてきてくれた。



数分してから、目指していた目的地についたので、私は彼の手を離した。


「で、何の用ですか?」


改まって彼に言われた一言は昨日のことなんか忘れてるみたいだった。(実際忘れてるのだと思う。)
それにちょっと傷ついたのか私の声は小さくなった。


「…気になって…」


「?」


「……あなたの事が気になりました。」



小さいけれど誰もいない部屋で、しかも隣にいる人に伝えるのは容易の大きさで。


「えっと、俺、恋愛は事務所が…だから、気持ちはすごく嬉しいけど、ごめんね。」


意を決して告げた言葉は彼に間違って届いてしまったらしい。
そのまま、彼は用事があるとかで、来た方向に戻っていった。




「…いや、そういうわけじゃ……」


やっと出た否定の言葉達は彼が見えなくなったあとに次々と出た。
なぜ青峰君の言葉の否定のように即答出来なかったのか…私でも分からなかった。





すれ違い今日




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