「テツ、こんなとこにいやがったのか!?探したんだかんなって……へぇ」


体育館に響く声が私たちを注目させる。
十二分に泣いた私はハッとすると、いつの間にかそばにいてくれていたみたいで心配そうな顔の黒子君がいた。
そこに先ほどの声の持ち主の青峰君がニヤニヤしながらこちらにくる。


「へぇ、いつまでたっても来ねぇなって思ってたらこんなとこでイチャイチャしてたわけか。」


「ちっ違うよっ青峰君!!
ちょっと私が…その…」


「だってさ、テツ。」


「…………(即答しなくても…)」




それからは時間が遅いというのもあり、黒子君が私を家まで送るということだったので、一度断るとなぜか青峰君から批判がきたので、私はそれに甘えることにした。



「今日はごめんね。いきなり泣いたりとか…」


「いえ、大丈夫です。

あの、僕が言えたわけではないんですが、僕はあんな風に思えるなまえさんはすごいと思いました。お母さんのこととか事情はあまり分かりませんが、僕はそのように泣けることがすごい親孝行になってるのではと思います。」


そこまで言って黒子君は消えてしまった。


「(ここでミスディレクション使わなくても…)」


私の背負ってたものが少し軽くなった気がしたのと同時にまた泣いてしまいそうだったので私はいつもの大きさでただいまと声をかけた。



――――――――




ご飯を食べ終わった私はいつもより長めにお風呂に入り、すっかり疲れもなくなって颯爽にベッドに入った。



今日の彼は私と誰かを間違えたんだよね。きっと。私彼のことは知らないし、誰だとかも分からない。


だとするとなんであんなに怒ってたんだろう?


そしてあの目…


あー気になって寝れない!!


黒子君も言ってた。


「親孝行……か……」









お母さん。


私、親孝行出来てんのかな?

親不幸者じゃない?

お母さん、私知ってるんだ。

お母さんは私にバスケして欲しくて帝光中を勧めたんでしょ?

私がバスケ好きだったから。



「そうよ。
お母さんはなまえが本当に好きそうにバスケしてたから勧めたのに。なんで話してくれなかったの?

なまえが友達に……」



――バッ





夢………?


私はやけにリアルな母を見て勢いよく起き上がると、あれが夢であることを確認してまたベッドに倒れ込む。




窓から差す月の光がやけにまぶしく感じた。



満月に願いを


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