「綺麗なもの…かぁ」


写真部に入って一年と数ヶ月、文化祭に向けての課題に何も手をつけられず、このままではまずいとさすがに危機感を感じ、やる気をだしたところで、カメラを片手に放課後の誰もいない廊下を歩く、本当は外に出て探すのがいいが今日は生憎の天気。


外は諦め校舎内を徘徊することにした。




「(あれ?こんな所あったっけ?)」




今まで適当にぶらっとしていたからか、ふと周りを見ると、知らない場所に来てしまったようだ。


中をのぞくと、図書室と言うよりは少ないが、本が並べられてあり、古い木製の机と椅子が周りに2、3と列をなしていた。

好奇心というのはすごいもので、いつの間にか私は教室の中に歩を進めていた。


さすがにこういう時は静かさが目立つもんで、いつのまにか雨も止み、その静けさの中に夕日が窓から差し込んで光輝いていた。


「(雨上がりで水滴が光に反射してるんだ…)綺麗…」



素で出た言葉にこれはもはやシャッターチャンス?と思いカメラを構える。



ピントを合わせて、いざボタンを押そうとした瞬間、



――ガラガラガラッ


勢いよく開けられたわけではないが、こんな場所に人が来るとは思っていなかったので、驚いてそちらに顔を向けるとこの教室に入ってきた相手も驚いて固まっていた。





「あれ、もしや、もうバレちゃったっスか?」


「?」


「あんましつこい子は好きじゃないんスけど。」


「あ、あのっ」


「とりあえず、どうやってここを調べたんスか?」




しばらくすると相手側の背が高くて金髪の彼の方が口を開いたので、そちらに集中すると、
なぜか機嫌が悪い調子に鋭く睨まれた目は私の方に向いた。またもなぜか彼は私との距離をつめる。まるで私に逃げ場を与えないように壁へ壁へ。と。



「黙るのも手っスけど、正直に言った方がいいっスよ。」


「?」


「とぼけても無駄っスよ。」



――バンッ


私が逃げ場がないのを見計らって彼は壁に手を当てて私を壁に挟み撃ちにした。

というか、なんで怒ってんの?この人、てか、誰だ?背高いし、なんか怖いんだが…



「へぇ、このカメラで俺を撮ろうとしたんだ?」


「!?...触らないで!!」


――バンっ





「…あ、ごめんなさい…」


「何スか?逆ギレ?」




別にそんなつもりはなかった。だけど、よくわからない状況に誰にも触れられて欲しくないカメラ。
それに見ず知らずの彼に言い寄られて、私はただそのカメラに触れて欲しくなかっただけだった。


それだけだったのに私は彼を突き飛ばしてしまった。




始まりは突然





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