今日は快晴。雲一つはあるけど、ない空。真っ青。こんな日は屋上で昼寝が一番いい。が、今日に限ってそれは出来なかった。と言うかそんな空なんて見てられなかった。

1限目の英語は何言ってるかさっぱりで、2限目の数学は先生が黒縁眼鏡のせいで黒板を見る度に、緑間君思い出すし、3限目の古典は百人一首の恋の唄とか、4限目は古典の時の藤原実方朝臣のかくとだに〜が頭から離れず上の空で顔面にバスケットボールが直撃。そのまま気絶して保健室へ行くし。なんだこの変な展開。ベタだ。
ベタ過ぎ。このまま私目覚まさなくていいよ。この状態だと、何一人で勘違いしてるのだよ。少女漫画の読みすぎなのだよ。って本当に言われかねない。昼休みこのまま目閉じたまま気絶したふりして5限始まるくらいに教室戻ろう。そうしよう。ご飯は今は入らないからいいや。そうしよう。

ーーサーッ(えっ?カーテン開ける音?)
「緑間君、私ちょっとこれから出張だから。鍵渡しといていいかしら?みよじさんが目を覚ましたら、鍵かけて鍵は職員室に置いてくれればいいから。」

「あ、はい。迷惑かけます。」

「いや、別に大丈夫よ。でも、一緒にいたいのは分かるけど、緑間君、ご飯ちゃんと食べなさいね。」

「はい。」

緑間君がそう返事すると保健の先生はそのまま保健室をあとにした。ってことは!!

「どういうこと!!」

みよじなまえ人生で初めてくらいの大声で保健室のベットから飛び上がりました。後日、緑間氏はあの時の事をこう語ります。びっくりしすぎて椅子から転げ落ちるところだったのだよ。と。


♂♀


ここまでお読みの読者さんなら結局どうなったのかわかると思いますが、もう少しだけお付き合い願います。
結論からいうと結局このあと私達は結ばれるわけです。

最初に好きって気持ちを相手に伝えたのは、緑間君でした。好きって。そのあとにちゃんと"なのだよ"がはいった好き。どの話で好きって言ったかは忘れたけど、いきなり真剣な目になって好きって言いました。セリフで表記してみんなにもきかせたいけど、私だけの言葉だからあえてしません。意外と嫉妬深いんです。私。そんなこんなで、私達はくっついたわけなんですが、あれですよね、腑に落ちない感じですよね?ここまで見守ってたのになんだよこの終わり方!って思ってますよね。分かってます。私も鬼じゃありません。でも、独り占めしたいんですよ、緑間君を。だって、本当に夢のような話だったからこのまま喋っちゃったら全部夢でしたーって…フラグ回収するみたいで…みなさんなら分かってくれますよね?


♂♀


ここからは後日談です。後日談っていっても、ノロケ話になりそうですけど。お付き合い願います。

期末テストが終わり夏休みになって私は秀徳バスケ部のマネージャーになりました。マネージャーなんて初心者だし、先輩もいないけど、ドリンクとか洗濯とかその他の雑用をして少しでも役に立ちたいと思っての事でした。
それにしても、彼の投げるボールは綺麗な弧を描いて全てリングに吸い込まれていきます。毎日欠かさず練習する彼。彼の長い指が、腕が、足が、体すべてが一本のバネみたいに伸び縮みして、しなやかに、そして力強くボールを投げる。その直後に長い浮遊。その間時間が止まってるような感覚。そして時が動き出す合図みたいに鳴る、ボールがネットを揺らす音。それはあの時外野で見てたのと同じ光景で本当にすごいしか出てこない。そんな自慢の彼が、緑間氏。


「みよじちゃん、今しんちゃん見てニヤけたでしょ?」

!?
いつの間にか隣に高尾君がいました。

「ちっ違うよ!ニヤけてないよ!」

「へぇ~ま、いいけど、イチャつくのも程々にしといた方が身のためよ~」

「イチャついてなんか!」

「あ、そうそう、みよじちゃん!今日しんちゃんが一緒に帰ろうって!」

「えっ?あ、了解です!いつものとこで待ってる!って伝えといてくれる?」

「ふーん、いつものとこ…」

「?なに?」

「んいやー別にー分かった伝えとくわ!そんじゃあまだかかりそうだから~」

その返事にはーいとだけ答えて私は残りの仕事をやりこなした。高尾君は緑間君のところへ行ってしまったようだ。なんなんだ、あの子は!別にイチャついてないしニヤけてなんかない!でも今日も一緒に帰れるんだ!やった!

「(あ、緑間君顔真っ赤になってる)」

高尾君に何か言われたのか顔がどんどん赤くなる緑間氏。あんなに赤くなるのは反則といいますか…何言ったんだろう、高尾君…
赤くなった彼を気にしながら私は帰る支度をする。あの日から私達はとりあえず放課後一緒に帰る仲だけど、手をちゃんと繋いで帰ったことがない。繋いだって言えば繋いだんだけど、テーピングの硬さが邪魔しました…欲を言えばテーピングなしの手を繋ぎたいです……


♂♀


校門でいつものように待っていると少し遅れて彼が来る。それで歩き始めればやっぱり車線の方を歩く彼。そういえば初めて一緒に帰った時もそうだったな~。
私も一応女子だって話したな~。そう考えたら自然と笑みが出てきた。この前まではこの人とこんな関係築けるとは思ってなかっただけに、あのまま時間止まれとか思わなくて良かったって思える。あのままだったら一生好きって気づかなかったし、彼にも言えなかった。

「なに笑ってるのだよ?気持ち悪いぞ。」

「気持ち悪くないよ!緑間君の誕生日のこと思い出してたの!」

「あ、あれは…!」

「あのさ、緑間君、手つないでもいいかな?」


たぶん緑間氏はすごくびっくりしたんだと思う。一瞬立ち止まったし、目が見開いてたから。でも少しして別に許可取らなくても繋ぎたい時に繋いで構わないって男前な発言と共に私の手を握り締めた。その手はやっぱりテーピングの硬さがあって、それが私だけのような気がして、また笑みを浮かべた。

「(私緑間君の特別…かな…)」

そんな事を思いながら薄暗いいつもの道を彼と手を繋ぎながら歩いたのは短い針が7と8のちょうど間に来た時の出来事だった。

彼の手の硬さ
(ゴツイってわけじゃないし、)
(プニプニってわけじゃないけど)
(彼の手は硬い。)


END





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