「あ、おはよーみよじちゃん!!昨日しんちゃんとはどうだった?しんちゃん教えてくれねーんだよ~。なんか二人あった?」


朝いつもどおり登校すると、いつもより寝不足な私に、昨日緑間君と帰ったことを唯一知っている高尾君が話しかけてきた。お願いだから今は緑間君の話をさせないでください。マジでそれで今悩んでんだから。ちらりと気になって緑間君の席を見ると、ラッキーアイテムの亀の置物の手入れをしていた。こちらの様子は別にどうでもいい感じだ。ってか朝練はどうした、二人とも。あ、今日はないのか?まぁいいや。

「?」

私は深いため息を一つはき、そのまま無言で席について高尾君には悪いが寝たフリを決め込んだ。ああゆう感じなのか?今の高校生は…


♂♀


そもそもあれはなんだったんだ。年頃の男の子と女の子が抱き合う?事が今じゃ普通な事なのか?結局昨日あれ以上は何もされずにそのまま、
「わるい、また明日なのだよ」的な感じで挨拶したかと思うと振り向きもせず緑間君は帰ってしまった。あの時私が高尾君みたいにハイスペックだったら、
「どうしたの?しんちゃん?今日は甘えたさんだなー??」みたいに緑間君をからかう感じで両者とも救われる道を選べたのに。いや、実際高尾君はこんなこと言わないな。甘えたさんって甘えたさんはないな。

そもそも私も緑間君がなんであんな事したのか未だにわからないけど、あんなことされれば多少は期待というものもするわけで、今朝登校したらお互い恥ずかしくなって、顔真っ赤にして、みんなに気づかれて、二人して顔真っ赤にして「あー本当やめてーもう」ってバレバレな嘘をついてクラスに冷やかさられるみたいなラブストーリーな展開があったってよかったじゃん?けど、これは違う。キャーヤメテヨーも顔が真っ赤なんてのも全てなかった。ただあの時の記憶を抹消されてる。いや抹消というか、緑間君にとってハグとは友達同士でやるような簡単なものだったんだ。何勝手に、キャッキャッウフフな展開の夢をみてたんだ?そうだよね、たまたま頭がぐらりとして私につかまって、たまたま「今日俺は誕生日なのになぜお前を送ったんだ」って言った言葉が「今日は俺の誕生日なのだよ…(もう少しギュッとさせろ)」と私が間違えたんだ。私がいいように解釈してたんだ。そうすると私超恥ずかしいじゃん。馬鹿丸出しじゃん私。何ちょっと抱きしめられただけで、おしるこ野郎に心ときめかしてたんだ。そうだこれからおしるこ野郎って呼んでやる。絶対呼んでやる。おは朝野郎でもいいな。あ、メガネ野郎でもいいか。でもやっぱりおしるこ野郎だ、決まり、これからおしるこ野郎だ!あとで、携帯の登録にもおしるこ野郎って登録しとこ!そうしよう。私の有言実行率なめんなよ?おしるこ野郎!ーーガタッ

(あれ?誰かこっちくる?)

ースタスタスタ、ピタッ
(え?私の横か?なんだろう?怖い)

なんか寝たふりしてる私の頭の上から何故か熱い視線を感じそのまま不思議に思いながら伏せてた顔をあげるとそこには緑間君がいた。まさか、ここで私に畳み掛けるのか?「何誤解してるのだよ。アレはべっ別にお前を好きでとか関係ないのだよっ勘違いするんじゃないのだよっ」あれ、ツンデレ?って何?何?じっと見つめないでよ!!

「なっ何かようです?みっ緑間君!!」
「…昼休み話がある。」

彼の鋭い目と私の挙動不信な目があったあと、
彼はそれだけ言ってまた自分の席に戻っていった。
私はただただ何がなんだかわからないままだった。

おしるこ野郎の心
(あ、)
(おしるこ野郎って呼べなかった!)
(さっそく、出鼻くじかれてんじゃん…)






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