「色々助かったっス」

そう言ってさっきまで起こった事件、名付けて"黄瀬君から女子剥がしちゃったよ事件"(ゴロ悪いな…。)でやっと落ち着いたところで黄瀬君は一人様用テーブルで紅茶をすすっていた。

「まさか君が助けてくれるとは思わなかったっス。しかも棒読みでご主人様とか、メイドに初めて言われたっスよ、俺。」

ちょっと含み笑いでこちらの恩を仇で返した黄瀬君はちょっとムカついたが、黒子君の執事姿を見たからか機嫌が良いのであえてスルーしてあげた。

「それにしても、黒子っちの執事姿、桃井っちに見せてあげたいっスね〜!!」

「?なんでここで桃井さんが出てくるの?」

「え!?知らなかったんスか!?」

「何を?」

「(鈍感にも程があるでしょ…この人…。)いや、なんでもないっス。」

「まぁいいけど、あ、黒子君もうすぐでシフト終わるよ。」

「本当っスか!じゃぁお化け屋敷誘おうっと!!」


そういうと彼は鼻歌まじりに残りの紅茶を飲み干した。

(どんだけ黒子君のこと好きなのかな…?)

しばらくすると着替え終わった黒子君が来て、二人は行ってしまった。




「みよじさん、今日もう終わりでいいよ?みよじさんばっか働いてたし…」

そんな気使いをしてくれたのは二人が行ってしまった5分後だった。たぶん声をかけてくれた人は私が二人の後を羨ましそうに見てたからかもしれない。

(そんな見てたかな……)

断ってもろくなことはないので、快くお言葉に甘えて今日はもう終わりにすることにした。それから着替えを済ませて持ち場を離れたのはもうお昼に近かった。お腹はすいていないが、売り切れてしまったら、もともこうもないので、その辺にある焼きそばなんかを買っといて、その足で自分の写真が飾ってある場所に向かった。


その場所はシンとしていて静かだった。見に来る人はあんまりいない。そんな中にそぐわないオレンジ一色の写真。あの時撮った写真だ。周りは青空やオーロラとか綺麗にマッチしたものばかり。ちょっとどころか浮きまくってる。


「あの時はすごく綺麗だったんだけどな〜」

「本当、あんな綺麗な風景だったのに。君、実は写真下手なんじゃないっスか?」


誰もいないはずの廊下で私のボヤキに返事が返ってきた。驚いて声がした方を向くと、先ほどお化け屋敷に向かったはずの黄色い人がいた。


あの日のあの場所は


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