あれから彼とは何度か廊下とかですれ違ったりするが、前となんら変わりない日が続いていた。

結局のところ彼がなぜあんな悲しい顔をしていたのか大まかでは分かったのだが、私の好奇心はなぜか収まってはくれなかった。

そうこうしているうちに一週間という日が早くも過ぎていき、文化祭準備期間に入ってしまった。校内は色々と賑わい、看板やら衣装やら手の込んだものを作っていた。私が所属する写真部はそれぞれの課題にそって撮ってきたものを集め、展示するだけ。なので、当日の準備は前日の2、3時間で出来るらしく、クラスの出し物の手伝いをすることにした。


「みよじさん、みよじさん!こっちきてくれないかな?」


今年のクラスの出し物は喫茶店らしく、クラスの女子何名かと男子何名かが仮装して接客するということになったらしい。
そんでもって当日いつでもシフトが組めるというなんともそれらしい理由でなぜか私もその女子数名の中(半ば無理やり)に入れられた。まぁすべては面白がった友達のせいとも解釈はとれるが。


呼ばれたままその子について行くと、フリフリしたスカートにフリフリしたカチューシャ、これまたフリフリがついたニーハイを渡された。聞くに、これらをきてくれ、とのことだった。

待って待って待ってという気持ちが押される私の背中によって待ってはくれなかった。


「みよじさん、大丈夫?」

「…だっ大丈夫だよ。」

ノる気じゃない私にあまり話さない子が気にしたのか、心配の言葉がかかる。でも大丈夫ではない。文化祭当日休もうかな…。こんな格好お父さんに見せられないよ…。そんな気持ちを隠して笑った。私はつくづくお人好しだ。







とうとう文化祭当日はやってきた。
重くのしかかる休みたいという気持ち。しかしここで休んだら、せっかくの文化祭が楽しめないじゃないか。ということで半泣き状態で学校へ向かう。


着替えを終えて与えられた定位置に向かうと執事姿の黒子君を見かける。

(あ、黒子君も執事やるんだ。)


同じクラスなのに当日まで気づかなかったのは彼の影が薄いからだろう。ってさすがにそれは酷いか…。


「「「キャー黄瀬君よー」」」


いきなり女の子の声がうわずって聞こえたので何事?と思いそちらに顔を向けると私たちのクラスの入り口で女の子に囲まれている彼が目についた。

彼の表情は前に見せたものより強ばっていて、女の子には失礼だが、あぁあれなら私も嫌だわっと思ってしまった。

だから、別に助けようと思ったわけじゃない。だけどなぜか私は彼の前に出て、


「おかえりなさいませ。ご主人様。」

と、棒読みでお決まりのセリフを言ってみた。


言った後、かすかに彼が微笑んだのは見なかったことにしよう。


お人好しで積極的



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