「あっ」


蝉はまだないてはいない7月に入って2,3日、昨日あたりから気温が上昇してやけに蒸し暑くなってきた。そのせいか昼休みに喉が渇いて自販機に来たはいいのだけれど、間違えて自分が欲しい飲み物のボタンとは違うボタンを押してしまった。

それがまだこんな暑い日に飲めるようなものだったら良かったのだが、私が押したのは"おしるこ"だった。


とにかくついていないと思い、また挿入口に百円玉を入れ今度こそは間違えないように自分が欲しい飲み物を買った。




そうして困ったのはこのおしるこだった。
おしるこは好きでもなければ嫌いでもない。
だからといって喉が渇いている今の状況にドロッと、しかもすごく甘いこれはさすがによろしくなかった。

けれども買ってしまったのは自分なのだ。おとなしく飲むか、あるいは友人にあげるかの二択。
前者は頑張ればいけそうだが、後者は間違いなく"いらない"と断られるだろう。

なんせこの時期におしるこである。
誰が飲むのだ。こんな日に、こんな甘いものを。


「ぬっおしるこが売り切れなのだよ。」


そら見ろ、おしるこなくなって驚いてる人いるよ。やっぱこの時期にこれ買う人は罰ゲームみたいなもんだよね。
ってか誰だよ、自販機にしかも学校のにおしるこの項目つけたの。校長先生ですか!そうなんですか!!

そんなことを考えていたら、さっきの人(おしるこがなくて驚いていた人)が私の所に来て、手を差し出した。

何事かと思い顔を上げるとメガネをかけた緑色の髪をしたあの噂の人がいた。



「それを俺に譲ってくれないか?」



おしるこ売り切れ



.





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -