「笠松先輩も罪な人っスね。女の子泣かせるなんて!」
「私泣いてないよ?」
「そういうのは泣いていいんスよ。ほら、」
昼休みの屋上で二つ年下の後輩君に私は心を許してしまった。
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噂によれば、相手は隣のクラスの美人らしい。
一回、野次馬たちと一緒に見に行ったが、感じは良さそうで、可愛らしいし、いかにも女の子だった。
あれは幸男でもなびくわ、と頭では分かっていてもなぜか胸のあたりが痛む。
「よっ」
シーーン
また無視をしてしまった。あの噂と告白現場遭遇により幸男に話かけられても故意的に避けるようになった。
どう反応したらいいか分からないし、どう接すればいいか忘れてしまったからだった。
そしてそれは自然と"土日はきっと彼女とデートだろうし"とか"もし帰りに鉢合わせたら嫌だな"とかを考えるようになり会うのもやめた。そのたびに胸はひどく痛んだ。
「まるで、幸男のこと好きみたいじゃん。私。」
「…幸男って笠松先輩のことっスか?みよじ先輩。」
「……黄、瀬君。」
教室にいると考え込んでしまうからか、気分を変えるため屋上にいき、空に向かって発した秘密は昼休み開始10分で後輩君にバレてしまった。
そして冒頭に戻る。
本気だったって気付かないで
(今更気付いたって遅いよ、わたし。)
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