―12月22日―


季節は冬で、寒さが厳しくなる時期。
そこに、マフラーと手袋をし、並んで歩いている男女の姿がある。

その男女の歩く先々のお店から、軽快なクリスマスソングが流れている。
その男女っていうのが、私なんだけど……


隣が好きな男の子だからか、緊張してしまう。


「…そっそういえば!もっもうすぐクリスマスだね!!黒子君!」

何気ない会話だけど、
私にとっては、凄く重大な会話であって…
どもってしまう…


「そうですね。みよじさんは何かサンタさんにお願いしたんですか?」


「………黒子君まだサンタ信じてるんだ!!」

「あ、いや、みよじさんだから、まだ信じているのかと…」

「むー!!さすがに、信じてないよ!!
けど、今年はまだ、お願い事が2つあってどっちにしようか迷ってるんだ〜!」

「結局サンタさん信じてるんですね…」


正直、サンタさんが叶えてもらえるか……
うーん………

「(そこまでみよじさんが悩むなら、どんな願い事か凄く気になります!)」

「う゛ーーん。」

「あの〜ちなみに、何と何で迷っているんですか?」

「あ、うーんとね!」


―ゴクリ―
黒子の喉がなる。
次にどのような言葉が発せられるのか、
凄く気になって気になって………
そして、彼女が口を開く…………





「えーとね!
"黒子君と、クリスマス一緒に過ごせますように!"と…」


「ちょっと待ってください!!」

「……?」

「あ…あの!それなら、サンタさんに願う前に僕に言ってくれれば!!」

「……え?」

よく理解できないのか、彼女は首を傾げる。

「だから、……みよじさんさえよければ、…その……クリスマス一緒に過ごしてくれませんか?」

その言葉に、彼女は少し驚いて、立ち止まる。
立ち止まっても、
店からクリスマスソングは流れ続けている。

この店は、"ジングルベル"だろうか?
陽気に歌う子供たちの声。
あの店は"ラストクリスマス"だろう…
切ない男性の声が聞こえる。

でも今の彼女にはそんな歌は耳に届かない。

「駄目でしょうか?」

心配になって、黒子が問う。

今黒子が言った言葉が、凄く嬉しくて…つい…

「え?これ夢じゃないよね?」

なんていっちゃって…
我ながらベタだな〜と考えていたら、
急に視界が真っ暗になって……
気付いたら、黒子君に抱きしめられていた。

「はい。夢じゃないです。」

黒子君がいつもより近くて…
黒子君の匂いがして…
黒子君を意識して…


心臓がいつもの二倍…いや、もっと速く動いていて、
聞かれたくないのと裏腹に、黒子君と、ずっとこうしていたいというのが混ざってなんとも言えない…


「…みよじさん?」

「私…黒子君が好き…だから…その………」

深呼吸を一つする。


"私とクリスマスを一緒に過ごしてください"




丁重にお断りしま…せん!!
むしろよろしくお願いします。




「そういえば、もう一つの願い事はなんだったんですか?」

「あ、それなら、"黒子君がトナカイの着ぐるみを着てくれますように"だよ!!」

「………!!そ…それは……」



丁重にお断りします。
(えーなんで!!)
(嫌です。)
(じゃあ、サンタさんは?)
(それも嫌です。)






――――――――――――――


黒子のサンタ姿ちょっとやべぇ〜
鼻血出ちゃうって……


そう思いながら書いた夢。



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