「……あれから、僕はずっと、あの時の君の"また明日"を信じてずっと、ずっとあの公園で待ってた…
もしかしたら、風邪かな?って思って次の日もまた次の日もあの公園でまってたんだ。
借りたハンカチもずっと……返したかった。
あの時のお礼も…
ずっと言いたかった…
でも君はもう、引っ越したあとで…
引っ越した先の住所を知る術もなくて、
気づいたら君を好きになってて…
なんであの時、"また明日"なんて、言ったんだよ…
なんでだよ…なんで引っ越しちゃうこと言わなかったんだよ!!」
そういう少年は小さい頃とあんまり変わらない泣き顔だった。
『なんでだろうね。
でも……うん。たぶん…。』
あの時と変わらない…
真っ直ぐに彼を見つめて、
『あの時、君に伝えられなかったのはきっと、そう。私が不器用だからなのかもしれない。』
ね、って言えば彼はあの時と変わらない顔をしてあの時と同じように頬に一粒の涙が伝った。
「なんだそれ。」
あの時の違いを強いて言えばそう冷静に返されたことくらいかな。
すると、少年は私の方に近づいてきた。
「……ったく、俺の負けだ…
………全校生徒にはあれが虚実だってことを言うよ。だけど、俺は君と萌子を許したりはしない。だから、罪をおってもらうよ。」
『待って!私は分かるけどなんで萌子まで!?』
「俺と同罪だし、親友を殺そうとしたから。これだけじゃ不満?」
『ふっ不満も何も「いいわ。受けてあげるわよ。」萌子!?』
「綺羅、いいのよ。私も償わなきゃ。
んで、何がお望み?西条。」
萌子は私の前に出て、西条君を睨んだ。
「……萌子は俺のそばに一生いること。」
………………!?
『「えっ」』
「んで、田代は…」
そう言って新たに近づいてくる西条君は悪巧みを考えてる風で最初の萌子への言葉でイマイチ状況がつかめず、固まってしまって動けない…
そんな私なんてお構いなしに来る彼はやけに顔が近い…
ちょっ待って待ってっ
と思っている内に彼の顔は私の顔とわずか数センチでそのまま唇が――
そこで見ていられなくて目をつむれば、くるかと思った感触はいくら待ってもこず、逆に耳元に息がかかった。
それと同時に私にしか分からない声でささやかれた言葉は、耳を真っ赤にさせるほど恥ずかしい言ノ葉だった。
「萌子、行くぞ。」
「え、あ、うん。」
途中昶と賢吾が西条君に何かヤジを飛ばしてたけど、そのヤジすら聞こえないほど私の中はぐるぐると回っていた。
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