そこはこの数日間の間に何度も訪れていたところで、今日も綺麗な青色に白色がまばらに浮かんでいた。
少し前までは私が身を投げだそうとしたところでもあって、あの時は浅村君に怒られたっけっと2,3日くらいしかたっていないのに凄く昔に思えた。
『(あ いた。)』
ここに来たのは勘だった。
あの人がいるんじゃないか。と直感したから。
その勘は大当たりでその人はフェンスを背にして立っていた。
「待ってたよ。田代さん」
なんて悪人みたいな決まり文句を言って私の前にいる彼はクルリと今度は私に背を向けた。
『萌子をはめたのはあなたね。西条君』
「へへっ
はめたって?あれは自業自得でしょ?それとも何?俺がわざわざ助言してあげて、用済みになった君のお友達に消えてもらおうと企んでいるでもいうの?」
『だったら?』
「残念だ。」
?
「非常に残念。
僕は最初から君さえ手には入ればいいんだ。だから、君のお友達が用済みになるわけないじゃないか。だって元から用なんかないんだからね。」
元から……?
「まぁはっきりいえば、元から俺はアイツに期待なんかしていないんだよ。俺が期待してたのは…そう、二海堂 昶の方さ。」
?二海堂君……?
「まだ分かってないみたいだね。君は二海堂 昶の事が好きみたいだったからね。」
「なっ何言って……」
「無自覚っていうのも知ってるよ。
だから、君から彼が消えたら僕に振り向くだろ?そんなとき石狩がきた。最初は良かったんだけどねー彼が君の事をだんだん信じてきちゃったし…。それに、あんなの見せられちゃあ…」
あんなの……?
「ね、僕もう君も飽きちゃったしいらないや。だから、この場で死んでくれないかな?」
それから時間が遅く流れていく。
さっき見た青色は一瞬にして消え、
別の青い色をした学生服が覆い被さってほんのりあの人の香りがした。
私はそのまま後ろに倒れて人の重みを感じる。
それと同時にぬるっとした感触がして手をそちらに向けてみると生暖かい液体の感触。
そして目の前にある左腕に不器用に巻かれたそれをみて私の頭はフル回転で今の状況を把握した
この包帯まさか……
急いで彼の名前を呼んで体を揺らすが返事がなく、なす術を失った私はとにかく名前を呼び続ける事しかできずにいた。
『ねぇ二海堂君!二海堂君ってば起きてよ。早く起きてよ!!二海堂君!!二海堂君ってば………
なんも言ってないんだから。あの時のお詫びだってしてないし、ねぇ、お願いだから……
早く起きろ!昶ァァ!!』
「ったく……やっと"昶"って言ったか。」
!?
「何面食らったような顔してんだよ。俺があんなんで死ぬと思ってたのか?」
『でもっ血!』
「んなもん大丈夫だ。それより立てるか?」
そう言った彼は苦しそうな顔だけど、少し微笑んで私に手を向けた。
無理をしている。
そんなのは彼が立ち上がる前から知っていた。
でも私が心配しないように……
『私が不器用なら、昶は馬鹿だね。』
「は?」
『うん。大馬鹿者だね。』
「てめっさっきからバカバカうるせー。」
『だって本当の事だからしょうがないよ。でも…ありがとう。
賢吾!昶をお願い。』
「えっ!あ、うん。」
「ちょっ何すんだよ。」
『これから先は手出ししないで。ケリつけなきゃいけないから。色んな事に。』
そうだ。
私が決着つけなきゃいけないんだ。
西条君のことも、
私がどんな人間なのかも、
そして私たちの過去も、
全部私が決着をつけなきゃ……
――決着の影 end
次はあとがき。
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