今日は萌子と一緒に学校へ行こう!と約束していたので、朝は萌子のモーニングピンポンで起こされた。

急いで支度して玄関に向かって母親が置いていったお弁当を手に持ち、ドアを開けると萌子と予期せぬ人がいて驚いた。

「綺羅が慌てて出てくるなんて珍しいわね。って何二海堂君の事見つめてんのよ!」

『ぁ、いや、見つめてなんかないです!ただ驚いちゃって…』

「ふうーん……」


そう、私がドアを開けたら萌子と二海堂君がいて昨夜の事を思い出して少し固まったわけであって、見とれてなど…

「ふふふ。まぁいいけど、さ、早く行きましょう。綺羅。」

『あ、待って下さい!』


私は先に行く萌子の後を追いながら彼の横を小走りで通り過ぎた。

その時は幸せすぎてこれから起こる出来事なんか予想できなかった。


萌子と私は通学路を並んで歩いた。友達と並ぶのは久しぶりで嬉しかった。それに一歩後ろには二海堂君が。
途中浅村君が近寄ってきて、2人の会話が少し気になってチラチラと怪しまれないように彼らを見ると少し不機嫌そうな顔ででもどこか嬉しそうに歩いてるように見えた。
それを見て少し笑ってしまった。
戻っていいのかな?あの頃に……

なんて考えて昇降口へ。




――何か嫌な予感がした。


何かは分からない。
だけど嫌な予感。

胸がざわつく。

なんだろう?

何が………




『!?萌子!
靴箱開けちゃダメ!!!

「え?     きゃあ!!


「うぐぁっ」


『「昶!!/二海堂君!!」』


私の忠告もすでに遅くて萌子は靴箱を開けてしまった。それと同時にナイフが飛んできて咄嗟によけた萌子だったが、よけきれなかった。それをかばったのは二海堂君で、二海堂君の腕にナイフが刺さってしまった。

二海堂君に駆け寄ると大丈夫だと断られてしまった。

それにしても、萌子を狙った犯行。

もしかすると、西条君の仕業……?

とにかく、萌子の事を浅村君に任せ、二海堂君を保健室に連れて行くことにした。


保健室の入り口まで来てなんだけど、並んで歩くと昨日の事を思い出して凄い空気になってしまった。
今更だけど、浅村に付き添ってもらえばよかったと考えてやっぱり萌子を守れるのは私より喧嘩の強い浅村君だと思い頭を横に振った。

――コンコン
 『失礼しまーす。』

と言ったところで保健室のドアを開けて顔だけ入り周りを見渡すが誰もいない。
もう一度声をかけたが無反応。でも怪我人をこのままにするのは危険だと思い、とにかく保健室に入ることにした。


『とにかく水でゆすいで、消毒して、止血して、包帯まいて…』

身近にナイフで刺されたというのを聞かないのでとにかく止血するのか先だという考えのもと集まったやり方はどうやら成功したようで二海堂君は安心したように左腕の少し不器用に巻かれた包帯を見て笑った。

「やっぱお前不器用だよな。」

『文句言わないで下さい。拗ねますよ。』

「拗ねても俺は放置するからな。」

『えー』


今少しだけあの頃に戻ったみたいでなんだか心があたたまった。もう少しこの時間が続けばいい。そう感じた。そう思ってしまった。自分でも驚くぐらいこの優しい笑顔を見ていたいと思った。


――ドンッ

その空間に終わりを告げるようにいきなり保健室の前…職員室側のドアが開いた。

それに驚きそちらの方を向くと先ほどまで一緒だった萌子と浅村君が慌ててドアを開けたかと思えば扉を閉めた。

「どこ行きやがったあいつら。」

「あっちの方じゃね?」

「行くぞ!!」

――タタタ


ぐぐもって聞こえた声の主は遠くの方へ向かい足音さえ聞こえなくなった。


「「ふぅ〜助かった〜」」


いきなり駆け込んできたこっちの声は安心したように溜め息混じりに発した。


「なんかあったのか?」


私の隣の彼は全く私の心と同じ疑問を投げかけた。




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