綾side
「真実は別のところにある……か」
別のところ……
私は綺羅の事知っていたようで知らなかったのかな?
もう付き合いだして二年……
あんなにキレる綺羅を見たことがなかった。
それと同時に悲しそうな目をしたのもずっと気がかりだった。
なんで?
分からないよ。
でも私、知りたいの。
真実を。知りたい。
でも私の信じた道が間違えたなら?
綺羅は許す?
いや、許すわけ……
「綾、何を迷ってる?」
「……?おじいちゃん……?」
「お前の進む道は俺の知ったこっちゃねぇけどな、自分で決めた道くれー腹くくって進みやがれ。
それで自分の決めた道が間違いって気付いたなら、正しい道にまた腹くくって進め。
お前はまだまだなんだから、一度失敗したからって縮こまるな。迷うな。お前はそういう奴だろ?」
さすがだわ……
おじいちゃんが私のおじいちゃんで良かった。
綺羅…私、真実を確かめるよ。
自分の目で。
綾side 終
二海堂君の家を出たのはある人に聞きたいことがあったから。
二海堂君の家からだと若干迷ったけど着くことが出来た。
――ピーンポーン
『夜分遅くにすみません。田代です。萌子さん、いらっしゃいますか?』
「あら、綺羅ちゃん?萌子ーー綺羅ちゃんよー。さぁあがって!」
萌子の家にはあがったことは何度かあり、特にお母さんとは仲良くなった。
萌子は一度いやな顔をし、さぁあがってあがってっと家族にバレないように部屋に連れて行ってくれた。
「あんた馬鹿でしょ?
わざわざ敵の家に来るなんて。」
『……話がしたくて。』
「話?んなもの私にはないわよ。」
『萌子は西条君の事好きだって聞いたよ、西条君から。萌子、利用されてるんだよ!西条君は私がフったはらいせで私に危害を加えたいだけで、私を消したらすべての責任を萌子に……』
「んなの、………てる……」
『え?』
「そんなの、初めから知ってるわよ!」
「でも好きなの、西条君が好きなんだよ。この気持ちは変わらないんだもん……」
『萌子……』
「綺羅が西条君をフったってきいたとき、正直ムカついたの。私なんか一生懸命振り向いてもらえるように頑張って…
でも西条君は私よりも綺羅をみてた。それに綺羅はいつも私に遠慮する。それがムカついたの!綺羅の全てぐちゃぐちゃにしたかったの。そんで死なせたかった。」
そこまで言って萌子は私を見つめた。
分かってたんだ。西条君の思惑も、でも萌子は好きだから。西条君の事好きだから、自分を犠牲にしてまで西条君を。
『私は遠慮なんかしてないよ。いや、遠慮じゃないの。本当は自分のテリトリーに入ってきて欲しくなかったの。他の人に。私ね、一度大切な人を殺しかけたの。それから私は人と関わらないように接してきた。だから、遠慮してたんじゃなくて、怖かったの。だから、一歩引いてたの。ごめん。』
「そうやって謝るのも嫌い。
あと、私知ってたよ。綺羅が大切な人を殺しかけたの。」
『え……』
「二海堂君と浅村君でしょ?」
なんで?
この言葉は今の私には声に出せなかった。
「私あの時あの場所にいたの……あのお兄さん……えっとちょっとイケメンの…が来たらへんから見てたの……」
え………
そういって萌子は私を部屋に残しリビングへと行ってしまった…。
それから数分して萌子が戻ってきた。その手には救急箱を持って。
「ごめん。私は綺羅のこと本当は怪物だと思ってた。けど…私ね、綺羅が好きだったんだ。綺羅は友達の事を自分なんかよりも大切にしてた。私、そんな綺羅に嫉妬してた。
でももうやめる。私西条君が綺羅を突き飛ばしてるのみて凄く辛かった。ごめん。私間違ってた。ごめんね。綺羅。」
そう言いながら包帯を新しく変えていく萌子は泣いていた。
包帯を巻き終わったのか、ハサミで端を切って突如萌子が私を見つめた。
「ねぇくだらない質問していい?」
そんな萌子に私は縦にコクッと頷くしかできず、それを確認してから萌子は口を開いた。
「#綺羅はこの前好きな人いないって言ってたよね?
二海堂君と浅村君は大切な人なんだから、好きじゃないの?」
なんと直球なのだろうか……
直球すぎて頭がついていけない質問に私は『わからない』と答えた。
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