―昶side―
誰かが言った。
偽りはいつかは隠し通せない。と
誰かが言った。
真実は自分で見つけるものだ。と
昨日、賢吾と話してたら突如コクチ反応が起きた。それも一匹じゃなく多数。
それに気づいた俺達は走って場所へ向かった。綾も気づいたらしく途中で合流した。
しかし、コクチが今度は全校生徒にとりつき、核となるところにはいっこうに進むことが出来なかった。
「昶、俺らが道あけるからお前は核へ。」
「だが…」
「いいから行って。私達だってこれくらい大丈夫よ。」
「あぁ分かった。頼んだぞ。」
「「おぅ」」
賢吾と綾に道をあけてもらい、俺はコイツらが群がってる核へ足を進めた。
今思えばもっと早く核へ行けたらあいつが傷つかなくて済んだのかもしれない。
あいつが泣くことはもうなかったのに……
足を進めるとそこにはコクチに寄生されている萌子と全校生徒、それに対して、あいつがいて、あいつを庇うように洸兄と白銀がいた。
白銀はケガをしているらしく、頭から血をだしていた。
その状況はまずいということだけ分かった。とにかく一刻も早くあそこにいって洸兄の手助けをしなければと思い生徒を振り切ろうとするが、ダメだった
すると白銀が、立ち上がろうとした。
『しっ白銀さん!!まだ!!』
「大丈夫です。これくらい……」
傷が塞がっていないのに無茶だ。
クソッ邪魔だ。
行かせ『なんで関係ない人達を……』
――!?
低いあいつの声。
「綺羅さん?」
『……なんで……関係ない人達を…傷つけんだぁぁああー!』
それからは白い光に包まれて、気を失う寸前で白銀が俺の影になった。
一体なんだったんだ?
あいつは何をしたんだ?
それを白銀に問いただしたらあっさり"明日詳しく話します"と答えられた。
今日は普通に学校。だが、俺、賢吾、綾は学校を休んでエイジングつまりはマスターのところにいる。
最初集まるのは放課後にしようと思ったが、白銀が早めに聴いておいた方がいいというわけで、勤勉な鬼の風紀委員をやっとのことで、学校を休ませることに成功した。
「で、大事な話ってなんなのよ。昶。」
「おぅ……白銀。」
「はい。皆さんに集まっていただいたのは、田代 綺羅さんについてです。」
「綺羅……」
「はい。」
「みんなも知ってる綺羅ちゃん、この子は因子持ちだったってわけ。」
「因子って、あの因子!!」
「そうです。そして、彼女は力を持っています。しかしなんらかの影響で彼女は自分の力が制御出来なくなっているんです。」
「それってつまり……暴走してるってこと?」
「賢吾君のいうとおり、暴走に近い形です。一歩間違えば周りが危険です。」
「だったら早く対処しなきゃダメなんじゃ?」
「はい。仮の対処は昨日マスターの方でおこなったんですが、正直彼女が力を暴走してしまうのは、誰かを守りたいからきていて、それがどのくらいまで膨れ上がるかは彼女次第でして……」
「今後、暴走する時の力量がわかんねーのか…」
「なあ白銀さん、綺羅の暴走は守りたいからきてるって何?」
「あ、それはあくまで推測にすぎないんですが、これまでに彼女は2度力を暴走させました。1度目は昶君達を守るために。2度目は私達を守るために。そして、彼女は自分を攻めているんです。1度目の昶君達にはケガを負わせてしまったから。自分を危険人物と……」
そこまで聴いて言葉が出なかった。
あいつの……綺羅の思いが分かったから。
綺羅はただ俺達を憎んでた訳も嫌いになった訳でもなかった。
自分に人を近づけたくなかっただけだ。危険人物だから。自分に近づいたら、俺らが傷つくと…一人で抱え込んでいた。
なにしてんだ。俺は…
「ごめん。」
そう謝ったのは洸兄だった。
「本当は俺が……」
洸兄は綺羅とあったことを話してくれた。
綺羅との出会いや、賢吾に嘘をついたことや、綺羅に酷いことを言ったこと、守ると誓ったこと。
俺は全部知らなかった。
綺羅が抱えてる苦しみも何も……
それは賢吾も同じだったらしく賢吾は今にも泣き出しそうだった。
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