『……グハッ…ゲホッゲホッ』

――ドンッボコッ






人間はなんと恐ろしい生き物だろう?
もとは4本の足で歩き動物たちとあまり変わらないのに…


いや変わらないから仲間を作りたがり、仲間が傷を負ったら仕返しをするのかもしれない。




「なんか言ってみろよ!」



――ドンッ




しかし、私は人間じゃない。
人間の皮を被った危険人物。
危険"人物"は可笑しいか、強いて言うなら危険"物"だ。



「俺らが怖すぎて声もでないってか!!」




その"物"だと自覚したのは昨日。
甘かったのだ。私は周りにいる人間達と同じだと思っていた。
ただ、見えてはいけないものが見えるだけ……
それだけだと思っていた。


「お前、萌子に何したか分かってんのか?」


けど違った。
私は…私は…私は…『私は…』

私は…私は…『な…に…?』



「こいつしゃべったと思ったら…気持ち悪ぃんだよっ」

――ボコッ

『ゲホッゲホッ……』



分からない。でももう戻らない。
これで私からみんな離れてくれればいい。

一人でいい。そうだ。一人がいい。


―――キーンコーンカーンコーン



「やべっ次世界史!?行くぞ!!」



あぁ、背中を向けて走ってく人影が白く霧がかかったように見える。

ここは屋上。下手すれば彼らが来てしまう。

ここで気を失ったら駄目だ。

急いで行かないと。

授業はあの日からサボるようになった。
教室に私の椅子も机も居場所もない。
そんな場所にいたくなかった。

だから、大抵保健室に行って仮病を使う。

もう何度目だろう。

さすがに仮病は苦しいかな?

てか痛い。しんどい。

――……キイ

やっとドアを開け、前に進もうとしたら、誰かの足につまづいて転んだ。

顔の目の前には階段。
ギリギリで落ちなかったと安堵したが、髪の毛をつかまれる。


「いいざまだな。田代さん。」


低く耳元でつぶやかれる言葉。

「ほら、立てよ。授業始まってんだ。」

聞き覚えがあるその声は今度は私の腕を掴んで私を立たせた。

意識はとぶ寸前で、目の前に広がる階段は二重に見えて…


「ほらよっ」

――……どん。






私は気を失った。




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