『こ…う…さん……?』

なんであなたがここにいるのですか?

そうきこうとしたが、声が出ない。

「ごめんね…綺羅ちゃん……俺が……」

……………。
なんで謝るんですか?
頭上げて下さいよ。

またも、声が出ない。

それよりも………

「俺があんな事言ったから……」


なんでか分からないけど、

「ごめん…俺今度は…」


怖い!

『ごめんなさい!?』



気がついたら私は走っていた。

洸さんを見ると、また何か言われてしまうのではないかとか考えてしまう。
たぶん洸さんがそういうつもりで私に会いに来たわけじゃないことぐらいわかる。
むしろ、謝っていたから、あの言葉を撤回しに来たこともわかる。
けど、それがもし私の早とちりとかで、もっと何かを言われてしまったらと思うと、体が勝手に動いていた。


さっきは白銀さんに追いつかれて腕を捕まれたけど、今度は追ってこない。

少しそれにホッとする。

ホッとする?
いや、ちょっと寂しい感じ……??
なんだろう………

考えて走ったら誰かにぶつかった。

とりあえず、走ってきた私がいけないので、すぐに謝ろうと口を開いた…

『す…すみま………』

「いったー。」

『も…萌子…………』


私の目の前には萌子がいて、

「あら、やだ、綺羅じゃない!偶然ね〜」

『萌子……なんでここに!?』


…………。
そういえば、なんで私は萌子にあんな嫌がらせやられているのかな……


「なんでここに?昨日誰かさんをはめるために、傷つけたところを病院で見てもらって今来たとこよ〜。あ、そーいや、あれからどうなの?二海堂君には、誤解が解けたのかしら?まあ、私が血流しているところと、あんたがナイフ持ってたところを見ちゃえば、私を信じるわよね!」

……二海堂君はあれからどうしているのかな…
やっぱり、私の誤解は解けないよな…

淡々と喋る萌子に私は何も言わないままぼーっとつったっている。


「何とか言ったらどうなの!?」


―パチンっ―


萌子は考え事をしていた私にビンタを一発入れた。
それと同時に、私は床とこんにちは。
それを上から萌子が睨む…


「何もいわないで、自分の中に溜め込んで、それでいて、高志君に好かれて…うざいのよ!それに、気味悪いのよ。あんた。……だからさ!!この学校から消えろよ……」


萌子はどっから持ってきたか分からない木の棒を持っている。

「あ、そういえば、私知ってたんだ〜昨日の前の日綺羅が、先輩に襲われたの!」

『え…………………!!』
なんで、萌子は知ってるの?
まさか…………


「やっと気づいたんだ〜
そうだよ〜あれ、私が仕向けたんだよ!あれは面白かったな〜綺羅が腹を刺された時のあの歪んだ顔!!
あ、でも、一つムカついたのは、先輩たちから最後の最後で逃げ出した事かな〜?」

面白かった……?

『…………』

「あれはさぁ〜綺羅?
逃げちゃいけないよね〜せっかくお金払ってやってあげてるのに、逃げちゃいけないよね?」

………
お金払って……?
あの先輩を萌子が?
なんで?
なんで?



「なんでこんな事するかって?そんなもの自分で考えてよ。ね?綺羅ちゃん〜」

萌子がそう言うと腹を木の棒でグリグリやられる。
まあ、早くいえば、ナイフで刺されたところなんだけど。


『……や、止めっ』

手に力を入れるが、入らない。
左手でなんとかどかそうと試みるが、左手は萌子の足に踏まれている。

そのうちにグリグリされているところは傷口が開いて血が出てきている。
『………っ!?』

木の棒がめり込んで…

「痛い?」

『………へへっ…痛……く…な…いよ…こんな傷……。
あの時のより………ずっとましだよ。』

「あら、そう?ごめんなさいね気づかなくて〜」

さらに圧力をかけてくる。

『ぐはっ』

「このくらいがいいのかしら?」


痛い。
でも、あの時の言葉よりも、昨日の誤解よりも、
あの日彼らを傷つけてしまったことよりも、
何十倍も痛くないんだ。

「これで最後にしてあげるわ!?」

萌子は私にむかって棒を振り上げて………
それを私は抵抗しないで、目を瞑る。


「じゃあね!綺羅ちゃん!?」

その合図で、
私に棒を振り落とした……





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