―昨日―
そろそろ五限目の授業が始まるというとき、白銀があいつを体育館裏に連れて行かれるとこを見たらしい。だから気になって、俺は体育館裏へ、走った。
もしかしたら、あいつに危機が……
もう少しでつくというとこで、突然、
「キャアアアアアアア」
と……。綺羅じゃない……。
別の誰かしらの声がいや、悲鳴が聞こえた。
急いで向かうと…。
そこには、
あいつがナイフを持っていて、あいつの前にいるやつをみると、左腕から血をながしていた。
よくみると、あいつと仲良かった萌子だった。
白銀を探すと、姿が見えなかった。
どうしたらいいかわからなくて…とにかく、俺は萌子の方へ歩み寄る。
「大丈夫か?左腕……」
そう言って、学ランをかぶせると、
震えていることに気がついた…。
「に……二海堂君……綺羅が……『違う!私は…やってない!!』
そう萌子の言葉を遮ったのはあいつで、
お前はなんでこの状況で[やってない]って言えんだよ…
どうみたってお前しか……
『私……。やってないよ。信じて下さい。』
でも……俺は……
「なにやってんだ!お前ら!!」
そこで、他の生徒や、先生方がいるのに気づき、とにかく、萌子を先生に託す。
『私やってない。やってないです。信じて下さい!二海堂君……』
なんだよ……。なんでそんな顔すんだよ……。
「これが信じてられるかよ!血が流れてんだぞ?なんでだよ…。なんで二海堂君って他人みたいに呼ぶんだよ!!いつからだよ!!あのときからか??なあ、どうしたんだよ!」
「落ち着け!二海堂…。田代は、生徒指導室へ来い。そこで、話はきく。二海堂、お前は職員室へ、何があったか、話してもらう。いいな?」
そのあとはうわの空だった。あいつと元に戻りたいだけなのに、どうすれば戻るのか分からない。
あんな噂が嘘だと思ってた。
あんな噂あいつがするわけないと……
でもあいつは噂を真実にした。
いや、真実のことが、俺の中で噂じゃなくなった。
つまりは、俺を裏切ったわけで…
でも、裏切ったって言っても、今は、萌子の方が辛いだろう……
綺羅…なんでだよ。なんでこうなんだよ?なんで、周りから逃げんだよ…
教えてくれよ…
綺羅……
このときの俺は噂を、偽りだと言ったお前を信じていいのかわからなかったんだ。
―記憶の影―end。
次はあとがき。
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