『…たし…の…せ…だ…』
つぶやかれたセリフは俺には聞き取れなくて。
『わたしのせいだーー』
今度は大きな声で…。
それと同時に、彼女の中にいたコクチが消えていく……。
え?コクチが??どうやって?
信じられないことが目の前で起きた。彼女は叫んだのと同時に、自分でコクチを倒していた。
でも確かに今気を失った子にコクチの気配すらなくなっていて、よくわからないままとりあえず、アキ、ケン、気を失った子を抱えて俺の家へ向かう。
三人も抱えて歩くのは無理だと思って、どうしたものかと考えていると、女の子が目を覚ました。
普通、気を失った順からだろ!って思っていると、その子はスーッと無言のまま立ち上がる。
まだコクチが!?って考えたが、違うみたいで、突然俺に向かって、
『すみませんでした。』
とか細くて今にも消えそうな声で謝った。
「あっいや…。別に…だいじょーぶ。それより、君の方が大丈夫だった?可愛いお嬢さん?」
ってちょーしよく言って、元気出させようとしたけど、
『………。』
黙ってしまった。
「どうかした?」ってきいたら、女の子は詳細を話し始めた。
『……目を覚ましたら、200人くらいの不良が私を囲んでいました。もちろん私は両手足を縄で縛られていて、口もガムテープを貼られて身動きが出来ませんでした。すぐに、昶たちが目的で私は人質なんだと気がつきました。そこに変な人が来て、
[そんなに2人に迷惑をかけたくないのか?ならばくれてやろう…]
そう言って、気付いたら、2人を……。』
そのように話す彼女は嘘なんかじゃなくて、真剣でとても悲しい顔をしていた。
そして……
『それに…今回が初めてじゃないんです……』
「え?」
『前にも…一度だけ…こんなことがあったんです……』
「それって……?」
『私にもわからないんです…』
「へぇ〜うん。わかった。」
『え?』
たぶんこの時、信じてもらえないと思ったから、君は驚いたんだと思う…
「君、名前は?俺……洸!洸兄とか、洸お兄ちゃんって呼んで!」
『?』
「な・ま・え!俺可愛い子の名前は聞かないと気が済まないの!」
『……綺羅…田代 綺羅です!!』
「綺羅ちゃん…可愛い名前だね!えーと、これ!」
『?』
「御守り。さっきみたいなことが起きないように御守りあげるよ!」
『あ…ありがとうございます!!』
「いえいえ〜よし、あと、優しいお兄ちゃんから、可愛い綺羅ちゃんに一つ忠告しとこう!」
『ちゅーこく?』
「そ!忠告。」
ごめんな。綺羅ちゃん……。
でも、こうなるとは思ってなかったんだ。
『何ですか?』
俺は君がこのときどんなこと考えていたか分からない。
「うーんとね!」
『はい!』
俺のこと嫌いにならないでね……?
周りの奴を思って……。
君のことなんかわかってやらなかった。
俺は二重に傷つけた…。君を……
「今後、アキとケンに関わらないで欲しい―いや、今後、周りとあまり接点を作らないで。」
本当に馬鹿すぎだ――俺。
.
←→