目が覚めると、洸兄の家で、体中が痛かった。

昶はまだ目覚めていなかったらしく、
洸兄だけがコーヒーを啜っていた。

俺が起きあがろうとすると、洸兄はこちらに気づき、「まだ動いちゃだめだよ!ケン!」なんていわれた。


詳しく話を聞くと、洸兄が今日やりはずだった鍋の具材の買い出しから帰ると、酷い音が近くで聞こえたから見に行ったら、たまたま俺と昶が傷だらけで気を失っていたらしい。
で、洸兄が自分の家まで、2人を運んで、手当てしたってことらしい。

洸兄は「全く、男子2人担ぐって結構重いのよ。感謝しなさい!」っと言って、またコーヒーを啜る。

その話をずっと静かに聞いていた。


あの廃墟…。
洸兄の家の近くだったんだ……。


すごい音はたぶん昶が貫いた壁の仕業だと思う。


ってあれ?
でも……
それだと…


「洸兄…。綺羅!そうだ!綺羅!!見なかったか??」

「突然なんだよ!しゃべれるようになったかと思ったら、ケン、その前になんか言うことあるでしょ?」

俺は興奮した頭を冷やし、常識的なことを忘れていたことに気がついた。

「あ…ありがとう!洸兄。手当てしてくれて助かった!!」

「いえいえ〜」

「で?途中とかで身長が小さめの女の子見なかった?制服姿の!!」

礼をいってすぐさま、話を戻した。
しかし、洸兄からは

「いいや見てないよ。」


と予期せぬ言葉だった。

でも、見てないはずはない!
走ったらあの廃墟まで二分もかからない。
仮に昶がやられてから、俺が一分でやられたとしても、
廃墟から洸兄の家は一本道だから絶対に洸兄は綺羅に会うはずだ。

なのになぜ?

「う…嘘だろ?」

「嘘じゃないよ?男だったらあれだけど、女の子を見逃すわけないでしょ?俺が。」



「………………。」
「ケン…。夢でもみたんじゃない?」





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