「「なんだ…あれ……。」」
俺たちは唐突に思ったことをそのまま口走った。
そこには…
目の前には得体の知れない物であり、俺たちがよく知る者がいた。
その"モノ"の周りには200人相当の人間が倒れている。
よく見ると、そいつの手には携帯をもつ人間がいた。
その携帯をもつ人間―いや、一人の男は失神していて、目が白目を向いていた。
その顔は前にも見たことがあって、手に持ってる携帯が紛れもなく綺羅の携帯だと気づき、しっかりと握りしめられているということで、
「あいつ……。電話の男だ…。」
昶もそのことに気付いたみたいで、俺と顔を見合わせる。
でもその事実を認めてしまうと、
・
あの"モノ"が一体誰なのか。
ということの見当がついてしまう。
―嘘だよな…?
んなわけねーよな…?―
「……綺羅な…のか……?」
ボソッと昶が確認するのと同時に昶は何かに吹っ飛ばされてしまった。
もちろんこの廃墟の壁はコンクリートでできているため、そう簡単には砕けることはない造りになっている。
・
昶はそんな廃墟の2枚目の壁に強く打ちつけられ、気を失ってしまった。
「昶ーーーーー!!」
俺は相棒の名前を叫ぼうとしたが、あの"モノ"がすぐ隣に移動していることに気がついた。
もちろんガードなど効くわけもない。
俺はモロにビンタをくらった。
「ぐはぁ……。」
俺は地面に叩きつけられる。
でも、一発目の昶のよりは軽くて痛いビンタだった。
もうなにがどうなってんのかわかんねー。
どうしちゃったんだよ?
何が起きてんだよ?
"モノ"が俺に近づく。
まるでトドメをさしにきたかのように。
でも、わけわかんねーけど…。
綺羅を助けたい。
立てよ………。足で。
動けよ………。足。
怖くなんかねーだろ?
綺羅を助けたいんだろ?
喧嘩に巻き込んだのは俺らじゃねーか!
そこで俺は気を失った。
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