俺たちはとにかく走っていた。
途中人にぶつかっても今は走ることしかできなかった。
―15分前―
「もしもし?綺羅?今どこ??」
俺は今日約束していた相手が電話をかけてきたと思い、可愛らしい声が聞こえると期待した。
でもそれはちがった。
可愛らしい声とは程遠いガラガラ声のようなおっさんの声が聞こえてきた。
「けーんごくーーん?そこに昶もいんだろ?2人ともちょっと遊ぼうよ??」
俺の時が一瞬とまり、
何が起きたかわからなかった。
我に返ると俺の手からは携帯がなくなり、昶が奪ったのだと気づく。
「お前誰?綺羅はどこだ?」
隣では昶が珍しく声をあげて怒鳴ってる。
「そー怒鳴るなよ。綺羅ちゃんだっけ?その子は無事だし、今ここで気持ちよさそうに寝てるよ?」
「てめぇ!ふざけんな!!今お前どこにいる?」
「さあ?どーこだ?」
「ふざけんなっ!!」
「ヒント〜♪前にお前らと喧嘩したとこ〜」
「――っ?」
「早くしないと綺羅死ぬかもよ??」
「おいそれどういうこ……―ツーツー
昶がキレて携帯を地面に投げつける。
……おれの…。
今はどうでもいい。
俺は今事情が掴めてないから昶に聞く。
「綺羅は?無事なのか?大丈夫なのか?今の電話の奴誰だよ!」
落ち着きがなくなる俺に対して、落ち着きを取り戻したのか、俺の質問には答えなかった。
「おい賢吾!最近絡んできた奴らってどこでやったっけ?」
は?今はそんなこと……。
あの声……
(けーんごくーーん。)
あいつらか!!
「それなら、こっちだ!」
俺たちは走った。
無我夢中で。一週間前に倒した不良とやりあった廃墟へ。
でも次に綺羅を見たときには……。
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