綺羅がこの学校にきて初めて笑顔を見せてくれた。
いつも苦笑いで、心から笑ってなかったのに、
俺に笑ってくれた。
それがうれしくて、
俺は、
「俺、浅村賢吾!賢吾って呼んで!」
『賢吾……』
「うん!だから俺もこれからは綺羅って呼び捨てにするな!」
『…はい!』
綺羅は驚いたあと、嬉しそうに頷いた。
「あと、俺同い年が使う敬語嫌いなんだ!なんか俺の名前と似てるから、なんかからかわれてるみたいなんだよ!」
『なんですか。その理由…。でも…ぷっははは!確かにケンゴにケイゴ似てますね!』
「だから敬語使ったら、その日は俺たちと放課後遊ぼうぜ!」
『………はい!!』
その後、綺羅とは凄く話すようになって、昶と綺羅と俺でよく連むようになった。
でも、俺と昶といると綺羅も喧嘩に巻き込まれてしまっていた。
けど、綺羅は
私慣れっこだから!って言って、笑ってた。
だから安心してた。
俺たちはそのまま中学生になった……
中学生になっても、俺と昶、そして、綺羅で連んでいた。
その辺の不良に絡まれたり、先輩に呼び出しくらっても。いつも一緒だった。
だけど、綺羅に異変がおきたのは中三の夏休み明けたばかりのまだ、残暑が残る9月の出来事だった。
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