賢吾side


いつものように昶がサボってると思って、屋上に向かった。

屋上に着くと、
綺羅が今にも飛び降りそうだったから、
俺は、無我夢中で走った…



綺羅と俺は小学生のときに知り合った。

というか、綺羅が転校してきた。

昶もだったけど、なんか人を寄せ付けない子だった。
友達も作ろうとせず、
話しかけられても、同い年なのに敬語。人と一歩おいて、はなしていた印象だった。

俺は女の子なんて話す機会なんて、ねぇーちゃんぐらいだし、クラスにも女の子はいるけど、全くと言っていいほど、はなさないし…
でも、綺羅が気になって…

凄く緊張したけど話しかけてみることにした。



「ねぇ?綺羅ちゃんっていつもどこ見てんの?」

『………………』

でも綺羅は無言で俺を見た。

「……?なんか付いてる?」
俺は顔を触ると、

『あ、いや、初めて、前の学校以外のこと聞かれたので、驚いてしまっただけです。ごめんなさい。』

「……別に謝んなくていいけど」


俺が話しかける言葉を間違えたと思い下を向いて次の質問を馬鹿なりに考えていたら、いがいにも相手の方から声が聞こえた。



『……綺麗だなって…』
「え?」

『空……青くて、広くて、でも1日1日が違う空で、そんな空を自由に飛んでる雲になりたいなって思っただけです。』

「………」

『ははは。変ですよね。雲になりたいなんて…』


俺はこの時、綺羅が悲しい目をしたきがした。
だから、

「変でもいいじゃん!俺なんか昶みたいに強くなりたいって思ってるから別にいいんじゃん?」



『あ…きら?』
「あ、あそこにいる、本読んでる奴!二海堂昶って言うんだ!!」

『…二海堂君になりたいんですか?』

「うん!!」


『!ふふふふ。』
「そんな笑うことないだろ!」


『いや、二海堂君になりたいってのがおかしいんじゃなくて…』

「……?」

『なんかそういう友達っていいですね。二海堂君が羨ましいです。』

「うらやましい…?」

『はい。』


君は笑ってくれた。




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