―どうして?―


「あいつまだ来てんの?」
「萌子ちゃん親友だと思ってたのに…最低っ!」
「女って怖ぇー」

クラスに響き渡る声。


"萌子が綺羅に虐められてる"

そんな噂が流れた。
もちろん私は虐めてなんかない。虐めた覚えもない。

だから、私はみんながそんなデタラメを信じるわけないと高をくくっていた。


だけど、萌子に話しかけてもぎこちなく返される
はたかもその噂が本当かのように…


そして、事件が起きた。
それ以来、初めは否定していた人たちまでもが敵…いや、私を避けるようになった…

したがって、私は小学校のときの二の舞になってしまった。
でも私は慣れっこだから。そう言い聞かせる。
でも……でも……。



そんなこと考えてたら、
「綺羅?…。綺羅はやってないわよね?」

と綾に話しかけられた。

『綾まで疑うのですか?私…萌子さんを虐めてもないですし、昨日もやってないです。』

そうだやってないものをやってないといって何が悪い。でも……

「嘘つかないでよ!萌子にちゃんと謝ればすむ問題じゃない!なんで?子供みたいな真似すんの?素直に言えないの?」


綾は……
信じてくれないの……
なんだよ…それ…
なんか苛ついてきたぞ…私。

「綺羅がそんな子だと思わなかった!」


『……そんな子だと思わなかった?私のこと知らないくせに、知ったような口きくんじゃねぇーー!!』


―あの誰にでも優しい綺羅が…―


いつもと違って乱暴な言葉に驚いた様子を周りが見せ始める。
しばらく沈黙に陥る。
少しすると担任が入ってきて、ホームルームになった。
私は担任を横目に堂々と教室を出た。もちろん無言で。


「おい!田代!!どこ行くんだー?おーい!授業ーー!」


―高校に入って初めてのサボリだった―





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