―綺羅side―

『あの誰にでも優しい、頼まれたら断らない綺羅………かぁ』



私はいつから人に優しくなったのかな?
断れなくなったのかな?
いつだったっけ?


あぁ、きっと、あの頃からだ…。
人と一歩でも距離を開け始めた…

あの頃だ―――


―――――
―――




「ねぇねぇ綺羅ちゃんって、なんか、あれじゃない?」
「それわかる〜」
「なんか、男の子にモテるっていうか、」
「なんか、女の子にきびしいよね〜」
「あ〜わかる!なんか、自分が可愛いからって、ブリブリしちゃって!」
「なんか苛つくよね?」
「うんうん」
「私たちが仲間にしてあげたのにね〜」

「この前なんか○○君に告られたらしいよ〜」
「えー!それって、○○が好きって言ってたあのイケメン君?」
「そうそう」
「で?綺羅ちゃんの返事は?」
「それがねぇ〜[あなたには興味ありませんので、お断りいたします。]だって!」
「なにそれ?最っ低!」
「でしょ?」

「あっそーいえば!」
「なになに?」
「違うクラスの子に聞いたんだけど、」
「なに?早くいいなよ!」
「それがね、綺羅ちゃん、いきなり、誰もいないのに、誰?って壁に言ったらしいよ!」

「ははは、マジこわーい!」
「それにね、そのあと、ずっと壁と独り言、言ってたらしいよ。」
「なにそれ……気色悪っ!」
「でしょ?だからさ!」
「みんなで、」

――イジメヨウカ?――

――
――――
―――――
――――――

あの日から私への虐めが酷くなっていって……
小学3年生で、転校せざるをえなくなり、私はこっちに引っ越した。
それでも、よく半年も、虐めに我慢したと思う。

それ以来トモダチというものを作るのが怖くなった。
いっそのこと、誰にでも平等に接するっていう、楽な逃げ道を作った。


でも、あの日、君が声をかけてくれたから、
友達っていいなって思えるようになった。


けど、私はそんな友達を傷つけてしまった。


もう、見たくないんだ。
自分が友達を傷つけるなんて…


だから私はトモダチっていう括りを自分で一歩外側から見ている。

それは、決して簡単な事ではなくて、むしろ、辛い。


でも、そうやって生きていけば大丈夫。

誰も傷つかない。


傷つかない程度に接そう。

虐められないように接そう。


そう生きていれば、

大丈夫なのだから。


しかし、それが過ちだと気付くのはもう少し後になってから。


―綺羅side終わり―



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