というわけで、
―後半開始っ!―
「すみません適当にパスもらえませんか」
「は?」
「がんばれ!あと3分!」
「(てか、もらっても何ができんだよ?せめてボールとられんなよ〜)」
「――!?やっとかい!」
「(この違和感は何?もしかして…何かとんでもないことが起きてる…!?)」
――…………――
「……え…あっ」
なぜか、先ほどまでは
ドリブルしていた子が全然違うとこにパスしたと思ったが、ボールはいつの間にかゴール下の子に行き渡っていた―
―バス…―
「…え……な」
「入っ…ええ!?今どーやってパス通った!?」
「わかんねぇ見逃した!!」
―パツ―
―シュォ―
次々と不思議な現象が起こる。
「どーなってんだ一体!!?」
「気がつくとパスが通って決まってる!?」
「(存在感のなさを利用してパスの中継役に!?
しかもボールに触ってる時間が極端に短い!!
…じゃ彼はまさか…
元のカゲの薄さを…もっと薄めたってこと〜)」
そう、この不思議な現象の犯人はリコの言う
―黒子 テツヤのことである―
[ミスディレクション]
手品などに使われる人の意識を誘導するテクニック。
まあ、このへんの説明面倒だから、簡単にまとめると、彼、テツは自分以外を見るように仕向けてるってわけよ。
でも、
「(これが黒子の…!!)」
「(元帝光中のレギュラーでパス回しに特化した見えない選手…!!
噂は知ってたけど実在するなんて……!!)」
―[キセキの世代]幻の6人目(シックスマン)!!―
「あッ!!(しまっ…黒子のパスに気をとられすぎた…!!)」
「火神!!」
―シュッ―
「うわあ!!信じらんねェ!!36対37で一点差!?」
「ったくどっちか片方でもシンドイのに…(二人組んだ時のこの獰猛さは手がつけられんねーな)」
でも、
「っち!!」
「―!?バッ…」
―バチッ―
「しまっ」
「うおお!いけえ黒子!!」
「勝っ…」
―ガボン…―
パス以外のドリブル、シュートは下手なんだよな、テツって。
「……だから弱ぇ奴はムカツクんだよ
ちゃんと決めろタコ!!!」
―ガンッ―
「うわぁああ!!一年チームが勝ったぁ!!?」
結果は、テツがはずしたシュートを巨人君がすかさずダンクをしたことにより、一年生チームが勝利した。
(…ったくあの二人はどこまで息合ってんだか)
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