1日が終わるのは結構早く、そしてもう、部活に参加していいと言われた。
「よーし全員揃ったなー。一年はそっちな」
言われた通りに一年側の方に行ったら、目の前に背の高い男がいた。
しばらく見ていたらあっちもこちらに気づいたのか話しかけてきた。
「おまえもバスケやるのか?」
その問いに横に首を振り、一応よろしくとだけ言ってすぐに背中を向けた。
それが変だったのか、彼からはもう、話しかけて来なかった。
「男子バスケ部カントク、
相田リコですよろしく!!」
「「ええ〜!!?カントク!」」
(あの時の……
カントクだったのか!?
だから、助かるだとか、私マネージャーじゃないもん。って言ってたのか。)
「あっ、ちなみにマネジはあの子、白井 遊君なので☆」
少し考え込んでいたら、いきなり紹介されて焦ったが一歩前に出て軽く会釈をした。
「マネージャーだったのかよ」
驚いたのか独り言のように呟いた後ろの巨人君はその後、つまんなそうにため息をした。
それが少しムカついた。
「……じゃあまずは――シャツ脱げ!!」
「「え゛え゛え゛〜!!?」」
ムカついたのも束の間で、さっきから色々と唐突なカントクの爆弾発言により、一年生はシャツを脱ぐことになった。
「……なんだコレ……」
「キミちょっと瞬発力弱いね――」
――カントクさんは次々と一年生の体をみて淡々と身体能力を言っていく――
家がスポーツジムである、カントクさんは、この能力が幼い頃から身についたらしい……
「というかなんで俺も……?寒い……」
なぜかしらないが、マネージャーの俺も脱いで待機していた。
「白井君には少し興味があったの!」
「うわっ!!」
(いきなり現れたから心臓止まるかと思った…)
「それに、服の上からでも凄くいい体格してるんだもの!!みたい!!」
確かに、ケガでバスケをやめてから、体育に支障がないように上半身は一応劣らないよう心がけている。
「……そっそうでもないですけど……」
「そうでもあるわよ〜☆」
「は…はぁ〜」
(いや、ウィンクされてもっ!)
けどやっぱり、人にジロジロ見られるのは恥ずかしいわけで、ましてや俺は男なわけで…
「(やばい!なんなのこの子…!!なんでマネージャーなの!?せっ選手にしたいわ〜(ヨダレたら〜)」
「……はい、次な〜」
そう白井が思ってるのとは逆にカントクの目は、輝いていた。
その光景を見ていられなかったのか、主将がヨダレを垂らしているカントクを次の人のところに運んでいった。
そうしてる間にまたカントクはさっきの巨人君のところでまたもや、ヨダレを垂らしていた。
「またかよ!カントク!!いつまでボーッとしてんだよ!」
「ごめんっっで、えっと…」
「全員視たっしょ!火神でラスト」
「あっそう?…れ?
……黒子君てこの中いる?」
「――!?」
(はは…懐かしいな…アイツら元気かな…?
というか今 [黒子] って…んな訳ないだろ…テツが誠凛来るわけねぇよ…)
珍しい名字に心臓が一瞬浮いた感じがした。
しかし、よく考えれば全国は広い。
同性の人というのは結構いる。
だから、彼がここにいるわけない。
彼の事だから、きっと大輝と一緒に強豪校に行ってるはず。
だから、気にしなかった。
「今日は休みみたいね、いーよじゃあ練習始めよう!」
「あの…スミマセン
黒子はボクです。」
でも確かに、そう発せられた声は旧友の声そのものだった。
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