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「私ね、なんでか大輝の事はどうも好きになれないんだけど、大輝のバスケは好きなんだよな〜」

昔にこんなやつがいた。そいつとは小学5年に知り合い、中学で別になったっきりで今では顔も、うっすらしか覚えてない。でもはっきりと俺のバスケを好きと言ったその言葉だけは意外とすんなり自分の中に入ってきていて、高校生になった今でもちょくちょく思い出される。

─アイツは今の俺のバスケを見てもまだ好きと言ってくれるだろうか…

「って何女々しいこと言ってんだよ。俺は。」

「?青峰君?どうかしたの?」

「んでもねーよ。さつき、覚えってっか?このボールくれたやつのこと。」

「あ、名前ちゃんのこと?覚えてるよ!でも中学はそのまま違う中学校行っちゃったから、全く会わなくなっちゃったよね…でもいきなりどうしたの?」

「いや、別に。顔と名前思い出せなくてな」

「ボール奪っといて、さいてー。」


確かに最低なのかもしれない。だが、今会っても誰だか分かんねーって。実際。たかが三年されど三年。ぼやけてそこにはいるんだけど、出てこねー。

「あ"ーーー!!」

「!?どうしたの、いきなり大声出して」

「なんでもねー。ちょっと行ってくる。」

「どこに!?え、もうすぐで晩御飯みたいなんだけど!!だっだいちゃん!ちょっとどこ行くのよ、もう!!」

相手も同じように記憶がボヤけていって俺のことなんか忘れてるんだろう。あんなに好きだって言ってたバスケはむしろもう知らないモノになってるかもしれない。三年前は隣に俺がいたが、今は俺とは違うやつと笑って歩いてるかもしれない。なんかそんな想像がすぐできてしまった。顔は思い出せねーのに。不思議だ。

晩飯前にと持ってきたのは、小学の時にはデカかったボール。アイツが号数を間違えて買ってきて一生懸命弾ませてたボールでアイツが違う中学に行くって知った時に俺がパクったボールだった。カワじゃなくてゴムのそれはアイツの努力の証みたくツルツルで、オレンジ色がはげてて、今じゃ俺の手にしっくりくる。

三年。アイツに虫がついててもおかしくねーよな。くそっ。なんでこんなむしゃくしゃすんのか分かんねーし。

あいつのボールを持って来たのはいつもより遠いバスケコートでアイツと会わなくなってから行かなくなったコートだった。久しぶりで道も迷いそーだし、遠かったが、気づいたらここに来てたわけだ。

「?なんだ先客いんのかよ。」

せっかく遠いとこから来たのにそのコートには先客がいた。身長はさつきくらいで後ろを一本に縛っている。ダムダムとついたボールは手についていて、顎位の高さに構えられたボールは膝を曲げてもブレずそのまま手首のスナップを効かせてまっすぐゴールに吸い込まれるようにボールが入る。緑間が高さで圧倒されるなら、あいつのはフォームの綺麗さに圧倒される、そんな感じだった。
ガシャコンそう音がしてさっきまで上にあったボールがこっちに転がってくる。それを拾い上げると、今までシュートしていた女がこちらへきた。そこで俺は昔を思い出す。ボヤけてたアイツが鮮明になる。そんな俺とは裏腹にアイツは

「お、遅かったね、青峰大輝君。君、今、部活サボってるんだって?おーおーいい身分ですな〜青峰大輝君。」

なんて、笑いながら言った。決して、覚えてる?久しぶりとかでもなくて、彼女は笑いながら遅かったねって言いやがった。

「?何この世のものじゃないモノ見たような顔してんのよ。ほらほら、私の大好きな君のバスケ見させてよ。」

そういったアイツは外灯に照らされていたからか、あの日よりも綺麗だった。

もう会うことはないと思っていたアイツはまだ俺のバスケを好きだと言ってくれるみたいだ。



アイツと俺と時々バスケ
(なんで部活サボってるって知ってんだよ)
(さつきちゃんからメールで聞いてるから)
(は、お前らいつからメールしてんだよ!?)



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青峰ェお前難しいぞ、コノヤロー!
青峰にとって初恋だったらいいな。ってちょっと妄想しちゃいました。にしても青峰難しいな、ちくしよう。

お疲れ様でした。

3万hit、青峰 大輝、一つ目、終わり。



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